クリムゾン・ピーク

クリムゾン・ピーク “Crimson Peak”

監督:ギレルモ・デル・トロ

出演:ミア・ワシコウスカ、トム・ヒドルストン、ジェシカ・チャステイン、
   チャーリー・ハナム、ジム・ビーヴァー、バーン・ゴーマン、
   レスリー・ホープ、ダグ・ジョーンズ、ジョナサン・ハイド

評価:★★★




 恐怖は美に宿る。もちろんギレルモ・デル・トロはこの鉄則に気づいている。『クリムゾン・ピーク』は開巻から目を潤ませる美しい画面が連続する。20世紀になるかならないかという時代、芸術的なインテリアやドレスの花が咲き乱れ、しかしどこか歪さを感じさせる。歪さは次第に主張を大きくする。

 ティム・バートンだと原色をアクセントとして取り入れてポップでキッチュな美に昇華させることが多いのに対し、デル・トロは素材そのものが持つ美を追い求め、その先にある人の営みと密着した匂いを浮かび上がらせる。落ち着いた色合いの中、カメラが捉える対象物のそれが、奇妙で不可思議な現実感を感じさせる。

 カメラワークがさりげなく凝っている。何と言うことのない場面での長回しや、効率的にしてエレガントな人物の出し入れ。切り返しの愉快なタイミングや、背景にカメラの存在を溶け込ませる技。とりわけ感じ入るのは奥行きの気持ち良さだ。その向こう側が霊界と繋がっていることを感覚的に理解させる。

 物語の中盤から終盤にかけては、イギリスの田舎の寂れた大邸宅、と言うかほとんど古城が舞台になる。手入れは行き届いていないし、暗い色ばかりなのも面白くない。けれどデル・トロの映像術においては、これだけで十分だ。朽ち果てる寸前の棲み処が僅かに血の流れを感じさせる。その瞬間を見逃さない。

 ただ、視覚効果は誤算だったのではないか。ゴーストを登場させることで、必然として投入されるそれが、美しい映像に驚くほど馴染まない。「パンズ・ラビリンス」(06年)ではあんなに魅せてくれたデル・トロなのに、これは一体どういうことか。白と赤の組み合わせが日の丸弁当スレスレなのは許せても、これはない。

 思うに、ゴーストを出さなくても良かったのではないか。話自体は平凡でも(人間がいちばん怖いというお決まりの結論に落ち着く)、力のある俳優たちが、その悍ましさを炙り出す。それを信じれば心理劇として見せられる可能性もあったのではないか。クライマックス、いよいよ真相が明らかになる件など、役者が醸し出す妖気が最高だ。デル・トロはそれを飾り立てることに専心すれば良かったのだ。





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