ストレイト・アウタ・コンプトン

ストレイト・アウタ・コンプトン “Straight Outta Compton”

監督:F・ゲイリー・グレイ

出演:オシェア・ジャクソン・ジュニア、コリー・ホーキンス、
   ジェイソン・ミッチェル、オルディス・ホッジ、
   ニール・ブラウン・ジュニア、ポール・ジャマッティ、
   アレクサンドラ・シップ、キース・スタンフォード、シェルドン・A・スミス

評価:★★★★




 イージー・Eが麻薬の売人で稼いでいた頃、ドクター・ドレーがママにビンタを張られていた頃、そしてアイス・キューブがバス通学していた頃から物語は始まる。三人の若者を中心に描かれる物語は、単純にN.W.A.の栄光と没落の実話として楽しめる。けれど、それだけに終わらない強力なエナジーをも具える。

 エナジーの源になるのが、黒人文化だ。マイケル・ジャクソン、ホイットニー・ヒューストン、エディ・マーフィらの全盛期、デンゼル・ワシントンのひよっこ時代、音楽を通して己を表現する術を覚えたばかりの若者たちが暮らすコンプトンは、平然と黒人差別が残り、黒人の社会的地位が低く、彼らは貧しい暮らしからなかなか抜け出せない。そんな中で生きていくにはどうしたら良いのか、各々が頭を悩ませながら戦う日々。F・ゲイリー・グレイ監督はそれを克明に見せる。

 突き動かす物は怒りだ。差別主義者への、見て見ぬふりをする社会への、そして殻を破ることのできない自分への怒りだ。それがN.W.A.のサウンドを生み出し、その誕生を凝視することで、社会や時代の輪郭をくっきりと見せる。ギャングスターが通学バスに乗り込み、子どもに銃を突きつけ、「勉強しろ」を説教する空間のヴェールが、いつしか剥ぎ取られていく。

 …となると、当然ライヴパフォーマンスが重要になる。その再現力が全く持って素晴らしい。暴力的な歌詞が言わんとすることを本能的に理解した若者たちとの一体感。本音とユーモアが絡み合う言葉の洪水。その魂を掬い上げるビート。デトロイトでのライヴ、警官隊が注視する中でのパフォーマンスなど、震えが来るほどだ。

 それを説得力あるものにしたのは、撮影と編集の呼吸を完全に活かしたグレイの演出力と、そして何と言っても若い役者たちの健闘が大きいだろう。イージー・E役のジェイソン・ミッチェル、ドクター・ドレー役のコリー・ホーキンス、アイス・キューブ役のオシェア・ジャクソン・ジュニア…いずれもモノマネに終わらないヴァイタリティを感じさせる。演技的見せ場で言うとミッチェルとホーキンスが多いものの、ジャクソン・ジュニアがライヴで見せるソウルは、それだけで胸を打つ。ジャクソン・ジュニアはアイス・キューブの実の息子だ。なるほど実に頼もしい面構えではないか。

 出てくる登場人物は皆、血の気が多く、暗く湿っぽくなりそうな展開も豪快に蹴り飛ばしてしまうのが可笑しい。N.W.A.がバラバラになり始める後半は翳りも色濃いのに、それに釣られてテンションが下がることはないのだ。勝気な男たちの本気の(銃なしの)バトル。『ストレイト・アウタ・コンプトン』には人生を賭けて本気で戦う男たちの姿が刻まれている。





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