男と女の取扱説明書

男と女の取扱説明書 “Serious Moonlight”

監督:シェリル・ハインズ

出演:メグ・ライアン、ティモシー・ハットン、
   ジャスティン・ロング、クリステン・ベル

評価:★




 最近のメグ・ライアン映画は物語どうこうよりも、ライアン観察がいちばんの注目点になる。『男と女の取扱説明書』もその例に漏れず、ライアンもそれに応えるかのように冒頭から驚かせてくれる。サングラス姿は「ランド・オブ・ウーマン 優しい雨の降る街で」(07年)のときと同様メラニー・グリフィスそっくり、素顔を晒すと頬の部分がニコール・キッドマンそっくり。そう言えばこの3人、お直ししていることでも有名なのは偶然か。スターらしく外見の変貌で掴みを得る。

 このところ進むべき道を色々模索しているライアンだけれど、軌道修正、久しぶりのロマンティック・コメディである。アピールするのは相も変わらずお茶目さ…なのだけど、どうにもこうにも以前のようにはメジャーの波に乗り切れていない哀れさが目立ってしまっている。離婚を切り出した夫を監禁する妻の役は、隠れた名作「恋におぼれて」(97年)の過激路線を狙ったのかもしれない。ところがこれが上手く機能せず、ただ怒鳴っているだけにしか見えないのが寂しいのだ。男に捨てられる女、忘れられずに付け回す女という点は確かに似ているものの、「恋におぼれて」のときのようにロックでスマートで、なおかつ可愛らしいという魅力は浮かび上がらず、ただしつこいだけのイタイ女でしかない。

 個人的にはせめてライアンの夫を奪い取る女を一流どころのそれにして欲しかった。若さが強調されているのがステレオタイプだし、演じる女優がTV向きの安っぽさを発散しているのが(「寝取られ男のラブ♂バカンス」(08年)は悪くなかったクリステン・ベル)…、そりゃないだろう。これならば夫をスパッと切り捨てる方がよっぽどカッコイイ。今のライアンに捨てないよう男にすがる女はシャレにならない。

 登場人物は少ない。緑豊かなのどかな別荘でキレた妻が夫を監禁する前半は、前述のライアンの現状ばかりが目につくのだけれど、後半になると突如、暴力という大凡ライアン映画に似つかわしくない要素が前面に出てくるのにギョッとする。別荘に強盗が押し入り、生々しい暴力がライアンにも夫のティモシー・八ットンにも注がれる。緊張が走り、空気が一瞬にしてシリアスな空気へと変わる。もちろん笑えない。この危機的状況により夫婦愛が再燃するというありがちな展開がバカバカしい。

 妻が夫にする行為はとんでもないものだけれど、実は夫が妻にする仕打ちも相当なもので、前半のハットンはライアンにいかに愛していないかを力説することに全力を注いでいたと言って良い。もはや生理的嫌悪感に繋がるほどのキツイ言葉の嵐。それがあっさり心変わりするというのだから、殴られて頭がおかしくなったとしか思えない。

 ラストシーンで夫婦はある人物と擦れ違う。それは夫婦の行く末が明るいものではないことを暗示しているかのようで、このときに気づく。ひょっとして作り手は映画をブラック・コメディとして見せたかったのではないか。この夫婦の浅はかさをとことん笑い飛ばしたかったのではないか。題材と意図に見合った脚本と演出の不足が、軽薄なドタバタ劇に貶めてしまった不幸な作品と言えるかもしれない。





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