クリード チャンプを継ぐ男

クリード チャンプを継ぐ男 “Creed”

監督:ライアン・クーグラー

出演:マイケル・B・ジョーダン、シルヴェスター・スタローン、
   テッサ・トンプソン、フィリシア・ラシャド、アンソニー・ベリュー、
   グレアム・マクタヴィッシュ、アンドレ・ウォード

評価:★★★★




 「ロッキー・ザ・ファイナル」(06年)で終わったはずではなかったか。ロッキー・バルモアがまたしても蘇える。貶されても笑われても彼は諦めない。自分の信じるものを貫く男だということだ。しかも、彼は郷愁に溺れない。過去の栄光を懐かしみ、それをエネルギー源にしようなどとケチなことは考えない。今という厳しい時代と過去の遺物である自分を理解した上で、再び立ち上がる。

 だから『クリード チャンプを継ぐ男』のロッキーは主人公ではない。かつての盟友アポロ・クリードの息子アドニスのトレーナーとしてリングに向かうのだ。「スピンオフ」というライトな呼称は似合わない。会ったことのない父の血を受け継ぎチャンピオンを目指す若手ボクサーと、彼を鍛えることで再び倒すべき相手に闘志を見せる若くない男のドラマとして、実に力強い。

 ライアン・クーグラー監督はアドニスを演じるマイケル・B・ジョーダンの身体を流れる血のスピードを逃さない。ジョーダンの血は若い。そして速い。若い肉体特有の活力漲る血の流れを見抜き、それが「ふたりの父親」と衝突するときの予期せぬ動きを魅力的に捕らえてみせる。偉大なる父の存在と師となる父の好敵手との交流がアドニスを挫き、そして奮い立たせる。

 そう、このシリーズが貫く不屈の精神論が高らかに掲げられる。ボクシングを人生に見立てるという、お馴染みの手法を恐れず、パンチを次々繰り出す。何のために戦うのか。自分が戦う本当の相手は誰なのか。戦いの先には何があるのか。ジョーダンの躍動感ある肉体がその答えを探り当てる。

 ロッキー・バルモアはアドニス躍進の傍らに立つ。彼は単に「引退したボクサー」でも「主人公のトレーナー」でもない。人生、どれだけ老いても戦うべきときがあることを知らしめる存在だ。友を思わせる若い肉体の輝きを受け止めるロッキー。その輝きを肌に沁み込ませるのがロッキーと言ったらこの人、シルヴェスター・スタローンで、その枯れ方がとにかく味わい深い。

 これは全く予想外だ。腕力や銃弾に物を言わせたアクションの量産によりアッという間に頂点から転落した俳優が、近年はその再生産で食い繋いでいた俳優が、全ては無駄ではなかったとロッキーの復活に哀愁を添える。役柄を主人公以上に目立たせない、その抑えた演技に驚く。ロッキーが普通の人間であること、そしてそれこそがいちばん大切であることを念頭に置いた、人生の奥行きを感じさせる佇まいだ。

 もちろん全てを語るのはファイト場面だ。長回しが意識された最初の試合場面もさることながら、やはりクライマックスの決死の闘いが胸に迫る。肉体、そして撮影と音楽、編集の呼吸が美しく合致し、シリーズの魂が悠然と立ち上がるではないか。男たちが己の人生を肯定する瞬間が目に焼きつく。





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