ロスト・リバー

ロスト・リバー “Lost River”

監督:ライアン・ゴズリング

出演:イアン・デ・カーステッカー、シアーシャ・ローナン、
   クリスティナ・ヘンドリックス、マット・スミス、レダ・カテブ、
   エヴァ・メンデス、ベン・メンデルソーン

評価:★★




 どこかで見たような景観だ。人気がなく、建物は崩れかけ、草木は伸び放題、道はひび割れている。調べてみたところ、撮影されたのはデトロイトだ。なるほどライアン・ゴズリングは『ロスト・リバー』で、経済破綻で苦境に立たされるデトロイトが見る悪夢を見せたかったのか。

 それならば悪夢を魅力的に描かなければならない。そこはかつて希望が溢れていたはずだ。誰もが夢を見て、なのに現実に打ちのめされる。日々の暮らしすらままならず、それでも事態の好転を信じて踏ん張り続ける。それを魅せるためには悪夢の先や後ろ側に、それでも人を惹きつけずにはいられない何かがなければならない。ゴズリングはそれを誤る。この空間には艶がない。

 妖しい映像や掴み所のない物語、不可解な登場人物。目指したのはデヴィッド・リンチの匂いか。ニコラス・ウェンディング・レフンの気配もあるか。ちょっとレオス・カラックスのエキスもあるように思う。ゴズリングはそれらに憧れ、狙いを定め、接近する。しかし、接近はしても、その世界に自らの血を流すことができない。

 思うにゴズリングは基本、健全なのだ。癖のある役柄に次々挑戦し、色気も危険な匂いもまとっている。けれど、それはあくまで役者としてのゴズリングだ。おそらく素のゴズリングは健全な精神の持ち主で、物語を妖しく見せようとしても、それが透けて見えてしまう。監督とはそういうものだ。

 とりわけ惜しいのは「ロスト・リバー」にまつわるエピソードだ。街の衰退は、貯水池を造る際に「あるもの」を湖底に沈めたためだという噂。それゆえ青年は湖底に佇む「ロスト・リバー」を目指す。呪いを解くのだ。ロマンティックな設定には違いないのに、ロマンティックな空気はまるで立ち上がらない。

 三つの視点が用意されるのも話を散漫にする。血塗れのナイトクラブで働くことになるクリスティナ・ヘンドリックス。その息子で鉄くずを拾って金にするイアン・デ・カーステッカー。近所に住むシアーシャ・ローナン。視点が彼方此方飛び、けれど一向に物語は多角的にならない。悪夢が無表情のままだと言い換えることも可能だ。街が見る夢はもっと、底知れぬほどに禍々しく扇情的であって欲しい。





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