戦場からのラブレター

戦場からのラブレター “Testament of Youth”

監督:ジェームズ・ケント

出演:アリシア・ヴィキャンデル、キット・ハリントン、タロン・エガートン、
   エミリー・ワトソン、ヘイリー・アトウェル、コリン・モーガン、
   ジョアンナ・スキャンラン、アンナ・チャンセラー、
   アレクサンドラ・ローチ、ドミニク・ウエスト、ミランダ・リチャードソン

評価:★★




 ヒロインの名はヴェラ・ブリテン。彼女は実在の作家であり、平和活動家らしい。『戦場からのラブレター』は彼女の戦争体験を記した自叙伝を基にしている。中盤にかけての展開は、戦争により引き裂かれる若い男女のメロドラマのようだけれど、実は戦争が彼女にもたらした激情こそが主題だ。

 ヴェラの人物像が魅力的だ。当時にしては進歩的な考えの持ち主で、作家になる夢を叶えるべく大学進学を目指す。そのためには父親にも食って掛かり、男相手にも主張することを恐れない。つまり彼女は気が強い。風を切って時代を歩む女性の凛々しさが身体全体から溢れ出る。アリシア・ヴィキャンデル、ずばり適役。

 ヴィキャンデルの魅力は目にあるだろう。女性がまだ抑圧されていた20世紀初頭、それに鬱憤を抱えている女ゆえ険しい表情が多いものの、決して頭でっかちではない。ふとした瞬間、その表情が崩れる。そのときの目がとても良い。スピード感があると同時に、深い愛情を持った人間であることを丁寧に伝える。ベレー帽を被るシーンが多く、これがまた似合っている。コスチュームプレイに映える人だ。

 恋に落ちたヴィキャンデルとキット・ハリントンのカップルぶりが可愛らしい。同じ作家志望ゆえに、死や手紙により距離を縮めていくという古風な関係に味があるし、ちょっとした言い合いや喧嘩の場面も、子犬同士がじゃれているような気配がある。目付役つきのデートで見せる掛け合いも見ものだろう。

 戦争は恋人同士の愛情だけでなく、大切なものを次々奪う。ヴェラの周りには心優しく忠実な弟や秘かに彼女に恋心を寄せている男友達もいて、彼らもまた戦地へ旅立っていく。若者たちの多くは志願する。国のために戦う、それにロマンティシズムを感じる時代の空気が、次第にどす黒い色に変化していく。ヴェラはそれに気づく。しかし、気づいたところで無力である自分。居ても立っても居られず看護師として戦地に向かう。そこで感じる絶望。

 後半はほとんど平和主義者の叫びのような展開で、これが説教臭い。次々訪れる不幸に打ちのめされるヴェラの姿を通して、戦争の無意味さを訴える。そこに物語を伝えることが後回しにされたような違和感が付きまとう。戦争により身体をぼろぼろにする兵士。精神面の崩壊。遺された者の哀しみ。敵味方関係ない痛み。全く持って意義のない主張でも、見せ方が息苦しい。

 これならばメロドラマを優先した展開の中に、戦争が意味するものを浮上させることが可能だったのではないか。緑豊かな前半から一転、灰色が続く後半画面。その撮影が見つめるものは美しさだけではないはずで、恋人たちの物語を通すことでしか見えないものを切り取ることができただろう。





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