ザ・タイガー 救世主伝説

ザ・タイガー 救世主伝説 “El Ardor”

監督:パブロ・フェンドリク

出演:ガエル・ガルシア・ベルナル、アリス・ブラガ、チコ・ディアス、
   ホルヘ・サラン、クラウディオ・トルカチール、フリアン・テロ

評価:★★★




 西部劇が廃れて久しいものの、時折現れるのが西部劇の雛型を借りた再構築映画だ。『ザ・タイガー 救世主伝説』もその流れに入れて良いだろう。舞台はアルゼンチンの熱帯雨林。悪漢が煙草農園の強奪とそこに住む人々の殺戮を繰り返す。そこに現れる翳りある謎の男。彼が悪漢に立ち向かう。用意される設定は極めて単純、勧善懲悪がはっきりした物語だ。

 作り手が目指すのは、ジャングルの中に詩を見出すことだ。行き場を失った一匹のトラが棲むその森は、都会人の目から見れば、決して綺麗とは言い難い場所だ。枯れ木が散らばり、シダが生い茂り、ツタが絡まり、沼は泥で濁る。しかし、そこには緑がある。澄んだ空気がある。土と風の匂いがある。生命の息吹がある。それをじっくり切り取る撮影だ。

 それを映えさせるために人間は異分子として存在する。そこを荒らす者が行く道は傷がつく。セリフは極端に少なく、それすらも空気に溶けない。悪漢は正義にやられるべくして存在する。自然豊かな風土が、実は彼らのいちばんの敵ではないか。

 当然のことながら、ここでは銃はあまり存在感を見せない。代わりにナタやナイフ、竹やりが方々から飛んでくる。ジャングルで自然を享受して生きる者の土地勘も物を言う。クライマックスは霧が立ち込め、ほとんど神話の世界へと突入する。命がひとつ、またひとつと消えていく瞬間、そのとき初めて悪漢たちは自然に受け入れられるようだ。

 ガエル・ガルシア・ベルナル演じる主人公がトラの化身に見えてくるところが面白い。ジャングルの主であるトラはベルナルの魂と共鳴し、目的を同じところに置く。神出鬼没に彷徨うトラと傷を負ったベルナルがある瞬間から一体となり、ジャングルの神秘の気配がいよいよ濃いものになる。

 ベルナルとアリス・ブラガのラヴシーンも目に残る。ジャングル、雨が降りしきる中、ブラガが仕掛ける。ワンピースから覗く足をベルナルの股間に押しつけるところから始まる。ブラガは手をベルナルの胸に這わせ、その鼓動に耳を澄ます。息遣いが次第に荒くなり、身体はますます泥に塗れる。なるほど、確かに詩情がある。





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