007/スペクター

007/スペクター “Spectre”

監督:サム・メンデス

出演:ダニエル・クレイグ、クリストフ・ヴァルツ、レア・セドゥー、
   モニカ・ベルッチ、アンドリュー・スコット、デイヴ・バウティスタ、
   レイフ・ファインズ、ベン・ウィショー、ナオミ・ハリス

評価:★★★




 シリーズ第24作目となる『007/スペクター』は“死者の日”で沸くメキシコシティから幕を開ける。ビルとビルの間で勃発する銃撃戦。ビルの爆発。人混みをかき分けての追跡劇。ヘリコプター内での格闘。いきなり息つく間を与えないアクション。この一連の流れでおやっと思うのは、すっかりジェームズ・ボンド役が板についたダニエル・クレイグの印象の変化だ。

 クレイグ版ボンドの最大の特徴はその野獣性にあると言って良いだろう。トム・フォードのスーツの下にある筋骨隆々の肉体には瞬発力とスピード感があり、そこから滲み出る気配は土や砂、風の匂いと相性が良い。クレイグ版ボンドは野獣性の開放を恐れない。その野獣性が洗練性と目に見えて近づいている。それが印象の変化に繋がっている。

 元々ボンドは男が憧れるぐらいにスタイルを持った男だ。だからと言って、これが普通だと当然のこととして考えるべきではない。最初から軽薄さは感じさせなかった。代わりに荒々しさをまとっていた。それを失わないままに、洗練に近づくというのは、クレイグがボンドをいよいよ仕上げてきた証拠ではないか。ここでのクレイグは獣の血を濃厚に感じさせながら、スタイリッシュであり続ける。この変化がクレイグ版ボンドを倦怠から救う。

 ローマやアルタウッセ、タンジール、そしてもちろんロンドン。世界中を彼方此方飛びながら敵を追い詰めていくのはいつも通りだ。ただ、近作と大きく違い、演出に余裕を感じる。遊びがちょこちょこ顔を出し、シリアスに寄り過ぎる昨今の傾向とは若干異なる感触を残す。ボンドカーや爆弾入り時計等、メカの活躍があるところに顕著だ。ショーン・コネリーへのオマージュか、白タキシードと胸の赤いバラの組み合わせで粧し込むボンドも新鮮だ。

 マッツ・ミケルセン、マチュー・アマルリック、ハヴィエル・バルデムと続いた悪役を引き継ぐのはクリストフ・ヴァルツだ。得ないの知れない不気味さと仄かなユーモアの混合体はヴァルツならでは。クレイグが対峙する相手として意義なし。ただしまあ、ヴァルツならこれぐらいの変態性は当たり前だろう。

 それよりもボンドガールに感心する。モニカ・ベルッチは登場時間が僅かに限られ物足りないものの(それでも実にエロティックな肢体)、レア・セドゥーが実に魅力的だ。いつも眠そうな気怠い目に、意外や意志の強さを滲ませて、場面毎に女性特有のしなやかさを注ぎ入れる。衣装によって印象ががらりと変わるのも面白いし、身体はアクションに映える。特にモロッコ鉄道内のセドゥーが良い。ゴージャスにドレスアップし美を見せつけ、さらに狭い車内で繰り広げられる格闘にも貢献する。

 ボンドとは別に、MやQ、マネーペニーらMI6メンバーがMI5のCなる人物と繰り広げる攻防は、物語の勢いをやや減速させる。それぞれのキャラクターは魅力的でも、ボンドの物語と終幕になるまで絡むことがないためだ。息抜き場面として観るのは違うだろう。ボンドの話と結びつけるために、タンジールで決着がつかなかったのは(上映時間が長くなり間延びしてしまったのは)大きなマイナスだ。





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