Re:LIFE リライフ

Re:LIFE リライフ “The Rewrite”

監督:マーク・ローレンス

出演:ヒュー・グラント、マリサ・トメイ、ベラ・ヒースコート、
   J・K・シモンズ、クリス・エリオット、アリソン・ジャニー

評価:★★★




 相も変わらずヒュー・グラントが演じるのは大人になりきれない大人だ。以前はそのワンパターンに嫌悪感すら抱いていたものの、「アバウト・ア・ボーイ」(02年)あたりからちょいと見直した。不器用なグラントは芸の幅が広くなく、本人もそれを承知、それならばとセルフパロディを極めることに徹するようになった。『Re:LIFE リライフ』ではスランプ真っ只中の映画脚本家を演じる。そう言えば、「ラブソングができるまで」(07年)という同じ設定の映画もあった。

 生活費を稼ぐべく講師として田舎の大学にやってきたグラントの七転八倒。人々との交流を通じて人生を見つめ直すという定番ストーリー。しかし、そこはグラント、もはや余裕でセルフパロディ。ドラマに大きなうねりが出なくても、物事はテキトーに処理し、女好きで、人にちやほやされるのが大好きというそのまんまなキャラクターを軽快に演じる。もはや若い頃のように甘ったれた演技には見えない。大分老けてシルヴェスター・スタローンに見えるときがあるのにはギョッとするけど。

 グラントを囲む脇役が皆良い。家族のことを話す度に幸せ過ぎて泣いてしまうJ・K・シモンズ。ジェーン・オースティン命の大学教授のアリソン・ジャニー。シングルマザーとして働きながら大学に通うマリサ・トメイ。喜劇のできる俳優同士の掛け合いは本当に気持ち良い。リズムに元気がつくし、人物にスピードが出る。グラントとトメイの掛け合いなど、上級者同士の卓球のラリーみたい。テニスのラリーではないのがポイントだ。

 グラントが教える生徒たちのキャラクターも予想以上に立っている。「スター・ウォーズ」(77年)オタクだったり、教師と平然と寝たり、自分の才能を卑下したり、毒舌が過ぎたり、本物の才能を持っていたり…。彼らが作中発表する脚本は、ほんの僅かの件しか紹介されないのにも関わらず、実際に読んでみたくなる。

 そしてそう、映画ネタが次々出てくるのが堪らない。ジャック・ニコルソン、マット・デイモン、メリル・ストリープ。「ダーティ・ダンシング」(87年)「十二人の怒れる男」(57年)「クルーレス」(95年。傑作)。人名やタイトルもさることながら、映画好きでないと体感し難いだろう、良い意味でも悪い意味でもこの業界の軽薄さが華になる。グラントが愉快にそれに塗れる。

 そう、ほとんど実のない話に見えたグラントの再生物語に、いつしか翳りが見えてくるのが小粋な味になっている。一面的に見えたグラントの役柄に奥行きが出てくる。呑気にちゃらんぽらんに生きているはずの彼の背後に、生きる難しさとそれを逞しく切り抜ける見えない力がちらつく。疎遠になっている息子との関係が慎ましく絡むところ、なかなかデリケートな気遣いだと言えるだろう。





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