December 25-27 2015, Weekend

◆12月第4週公開映画BUZZ


レヴェナント:蘇えりし者 “The Big Short”
 配給:20世紀フォックス
 監督:アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ
 Budget:$135,000,000
 Weekend Box Office:$474,560(4) Great!
 OSCAR PLANET Score:79.5
 Oscar Potential:作品賞監督賞脚色賞
           主演男優賞:レオナルド・ディカプリオ
           助演男優賞:トム・ハーディ
           撮影賞編集賞美術賞衣装デザイン賞
           メイキャップ&ヘアスタイリング賞視覚効果賞録音賞音響効果賞

ヘイトフル・エイト “The Hateful Eight”
 配給:ワインスタイン・カンパニー
 監督:クエンティン・タランティーノ
 Budget:$44,000,000
 Weekend Box Office:$4,610,676(100) Great!
 OSCAR PLANET Score:73.2
 Oscar Potential:作品賞監督賞脚本賞
           主演男優賞:サミュエル・L・ジャクソン
           助演男優賞:ウォルトン・ゴギンズ
           助演男優賞:カート・ラッセル
           助演女優賞:ジェニファー・ジェイソン・リー
           撮影賞編集賞、美術賞、衣装デザイン賞
           録音賞音響効果賞作曲賞

さざなみ “45 Years”
 配給:サンダンス・セレクツ
 監督:アンドリュー・ヘイ
 Budget:-
 Weekend Box Office:$65,775(3) Great!
 OSCAR PLANET Score:96.7 BIG WAVE!
 Oscar Potential:作品賞、監督賞、脚色賞
           主演男優賞:トム・コートネイ
           主演女優賞:シャーロット・ランプリング
           撮影賞、編集賞、作曲賞

“Joy”
 配給:20世紀フォックス
 監督:デヴィッド・O・ラッセル
 Budget:$60,000,000
 Weekend Box Office:$17,015,168(2896)
 OSCAR PLANET Score:56.5
 Oscar Potential:作品賞、監督賞、脚本賞
           主演女優賞:ジェニファー・ローレンス
           助演男優賞:ブラッドリー・クーパー
           助演男優賞:ロバート・デ・ニーロ
           助演男優賞:エドガー・ラミレス
           助演男優賞:ベン・ウィショー
           撮影賞、編集賞、作曲賞

“Concussion”
 配給:コロンビア
 監督:ピーター・ランデスマン
 Budget:$35,000,000
 Weekend Box Office:$10,500,000(2841)
 OSCAR PLANET Score:62.6
 Oscar Potential:作品賞、監督賞、脚色賞
           主演男優賞:ウィル・スミス
           助演女優賞:ググ・バサ=ロー
           撮影賞、編集賞、作曲賞

“Daddy's Home”
 配給:パラマウント
 監督:ショーン・アンドリュース
 Budget:$50,000,000
 Weekend Box Office:$38,740,203(3271) Great!
 OSCAR PLANET Score:40.8
 Oscar Potential:主演男優賞:ウィル・フェレル
           助演男優賞:マーク・ウォルバーグ

X-ミッション “Point Break”
 配給:ワーナー・ブラザース
 監督:エリクソン・コア
 Budget:$100,000,000
 Weekend Box Office:$9,805,000(2910) zzz...
 OSCAR PLANET Score:23.8 BIG BOMB!
 Razzie Potential:作品賞監督賞脚本賞
           主演男優賞:ルーク・ブレイシー
           助演男優賞:エドガー・ラミレス
           助演女優賞:テリーサ・パーマー


※OSCAR PLANET Score…各有力媒体の批評を基にOSCAR PLANET独自の計算法により弾き出した評価バロメーター。作品賞、監督賞&脚本賞レース参戦を目指すのであれば、少なくとも70.0以上は欲しく、80.0以上なら堂々たる資格を具えていると考えて良い。ただし、演技賞や技術賞では作品評価が伸びなくても、候補入りする場合が少なくない。

※Oscar Potential…オスカーチャンスのある部門。太字は特にその可能性が高い。


【総括】
 アカデミー賞受賞直後で注目度抜群のアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥが手掛ける『レヴェナント:蘇えりし者』が登場。実話を基に書かれたマイケル・パンクの小説を原作にした物語は、クマに襲われて荒野に取り残されたハンターが、自分を置き去りにした者へ復讐を誓うというもの。イニャリトゥが主演に選んだのは、ハリウッドが最も信頼する演技派スター、レオナルド・ディカプリオ。作品が公開される度にオスカー受賞が噂される(「候補」でなく「受賞」なのが、受賞していて当たり前と思われている証か)ディカプリオが、遂に遂に遂に本当にオスカーウィナーになるのではないかと期待されている作品だが、まずは批評家の反応は良好なものとなっている。セリフではなく映像で語るイニャリトゥの演出は、名手エマニュエル・ルベツキの撮影の力を借り、荒々しくも官能的な映像美を炸裂させることに成功。セリフはほとんどないまま、復讐に突き動かされた激情を抱えた主人公の肉体と心の旅路を詩情豊かに見せるディカプリオの演技は、文句なしに素晴らしい。敵役となるトム・ハーディもノッている俳優特有の迫力が漲る。この評価は既に前哨戦結果に表れている。とりわけディカプリオの主演男優賞とルベツキの撮影賞は快調。オスカーを受賞してもおかしくないだろう。ただ、不安要素がないわけではない。良くも悪くもテレンス・マリック的という形容のされ方が多く、マリック映画のように魔術的な作品とするものもあれば、マリック映画のイミテーションでしかないと捉えた指摘もある。後者が決して少なくないのは、前哨戦の主役ではないことと無関係ではないと思われる。オスカーでは大量ノミネートは間違いないが、受賞にまで漕ぎ着けられる可能性があるのはディカプリオとルベツキだけだろう。そのふたりも今後作品評価が伸び悩んだ場合(各組合賞のノミネーションが重要)、オスカー当日には涙を呑むかもしれない。なお、興行的には限定公開ながら猛烈なスタート。今後拡大公開を成功させて、オスカー受賞に弾みをつけたい(何しろ製作費は1億ドルを軽く超えている!)。

 ディカプリオと組んだ「ジャンゴ 繋がれざる者」(11年)に続くクエンティン・タランティーノ映画が『ヘイトフル・エイト』。ネット上に脚本が流出。タランティーノが臍を曲げて製作が頓挫したかに思われたが、無事完成に漕ぎ着けた。雪嵐により山小屋に八人の男女が閉じ込められるが、いずれもわけあり、秘密を抱えていて…というストーリー。タランティーノならではのユーモアとアクション、そしてヴァイオレンスがブレンドされたいかにもな作りながら、今回は密室劇、推理劇要素が強いのがミソ。批評家に愛されるタランティーノらしく、レヴューは好意的なものが大半。真っ白な雪景色の中、タランティーノの魅力をたっぷり味わえるとしている。ただ、近年の高評価映画に較べると、やや熱狂度は低いか。欠点を指摘しつつの支持が多く見られる。その影響か、賞レースではジェニファー・ジェイソン・リーの助演女優賞とタランティーノの脚本賞中心の目立ち具合になっていて(リーは2015年最大のカムバックスターと言って良いだろう)、作品賞や監督賞では名前が取り沙汰されていない。各組合賞で存在感を見せられるか、注目される。興行成績は100館のみの公開ながらトップ10入りを果たす文句のつけない出足。更なる拡大公開の成功を目指したい。

 実は今週、批評家から最も熱烈な歓迎を受けているのは『レヴェナント:蘇えりし者』でも『ヘイトフル・エイト』でもなく、イギリス映画『さざなみ』。トム・コートネイとシャーロット・ランプリングがベルリン映画祭で男優賞、女優賞をW受賞した注目作になる。結婚45周年の記念日が目前の夫婦が主人公。ある日夫の初恋の相手の遺体が発見されたことをきっかけに、夫婦関係が揺らいでいく様を見つめるストーリー。長い年月を共にしてきた男女の心理模様が繊細かつ鮮やかに描き出されていく。イングマール・ベルイマンの影響を強く感じさせる作りながら、頼もしく今の映画になっているとのこと。そしてそうなった最大の理由がコートネイとランプリングの演技というわけだ。ベルリンの反応はそのままハリウッドに伝染していると言って良く、賞レースではランプリングが重要賞で存在感を発揮、いくつかの批評家賞も受賞している。実はランプリングはオスカー候補経験がない。今回遂に指名を受けるのではないか、大いに注目されるだろう。この批評家の反応を考えると、票がランプリングに集中しているのは解せないところだが…。なお、興行が大人の観客を中心にした動員になっているのはことわるまでもない。

 デヴィッド・O・ラッセル監督とジェニファー・ローレンスが三度目のタッグを組んだ『Joy』はやや評価が伸び悩んでいる。夫と離婚、三人の子どもを育てながら、ミラクルモップ等のアイデアグッズを発明した実業家ジョイ・マンガーノの半生を描く。つまり賞レース受けしやすい実話物なのだが、批評を眺めると、ラッセル映画にしては演出に力がなく、何を描きたいのか理解し難い場面もちらほら、時に退屈する場面すらあるという指摘が目立つ。それをフォローするローレンスの感情を震わせた演技は相変わらず輝いているとのことだが(一見の価値のあるレヴェルにまで引き上げる信頼できる演技)、ローレンスが各映画賞でノミネート止まりに終わっているのは、それと無関係ではないだろう。オスカーでは作品パワーが伸び悩んだマイナス要因を跳ね除けてローレンスが主演女優賞候補入りできるどうか、注目点はそれに絞られる。今のローレンスの勢いを考えれば、不可能ではないことに見えるがどうか。週末成績は今が旬のローレンスがスターパワーを発揮、決してヒット確実の題材ではないにも関わらず、堅調なものとなっている。

 ウィル・スミスが久々のオスカー候補を狙う『Concussion』も期待ほどには評価は伸びていない。決して悪い判定は受けていないが、絶賛でもないというのが正直なところ。こちらも実話物で、主人公は神経病理学者ベネット・オマル。米GQ誌にジャンヌ・マリー・ラスカスが寄稿した記事を基に、2005年、NFL選手の慢性外傷性脳症(CTE)を発見したオマル医師の戦いとNFLの実態が描かれる。タイムリーで論争を呼ぶ題材に果敢に挑んだ製作姿勢は頼もしく、いつもより抑えられたスミスの演技も充実しているのだが、スポーツドラマの枠を突破するほどの自由さは感じられず、時に息苦しいとの声が大きい。題材同様、賛否が割れていると言い換えても良い。前評判ではスミスの賞レース参戦が期待されていたが、今のところ、重要賞ではゴールデン・グローブ賞に滑り込んだ程度で終わっている。オスカーでスミスの浮上はあるのかどうか、彼のスターパワー頼みとなるか。興行的には可もなく不可もなくもオープニングなのが気がかりだ。

 娯楽映画『Daddy's Home』は「アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事!」(10年)に続いてウィル・フェレルとマーク・ウォルバーグが組んだコメディ。妻とその連れ子と幸せに暮らす男(フェレル)が、現れた元夫(ウォルバーグ)と、子どもたちへの影響力を競って争うことに…。スターは揃っているし、皮肉なアイデアも悪くないのに、それを活かすことができない平凡な想像力と創造力。つまり演出に問題ありとの声が方々から飛んでいる。全く見られないほどの駄作だと斬り捨てられているわけではないが、フェレルとウォルバーグの抜群のケミストリーを考慮すると、この程度の面白さに終わっているのはおかしいとのこと。でもまあ、賞レース狙いではない本作が狙うのは、興行的大成功。結果はというと、見事勝利、3日間で3,874万ドルを売り上げる好スタートになった。ホリデイシーズン効果を考えれば、メガヒットへの発展は夢ではない。フェレルとウォルバーグが三度タッグを組んでもおかしくないだろう。

 大スター主演の『Daddy's Home』と違い、無名スター主演でも日本公開が決まっているのが『X-ミッション』。91年映画「ハートブルー」のリメイクというのが、公開の理由だろう。元アスリートのFBI捜査官が、エクストリームスポーツのカリスマである男が率いるアスリート集団への潜入捜査をすることに…。オリジナルと筋立ては同じだが、批評家向け試写をパスして封切られたのが、その出来映えを象徴している。公開直後に挙がってきた評によると、サーフィンやスノーボード、モトクロス等のエクストリームスポーツのCM映像にしか見えないとの指摘が多々、大スターへのジャンプアップを狙ったはずのルーク・ブレイシーとエドガー・ラミレスにはほろ苦い結果と言える。興行成績は出演俳優の知名度を考えると悪くないのだが、なんせ製作費は1億ドルもかけられている。回収は絶望的で、失敗作の烙印を押されても仕方がないだろう。ラジー賞への警戒が必要だ。





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