リトル・ランボーズ

リトル・ランボーズ “Son of Rambow”

監督:ガース・ジェニングス

出演:ビル・ミルナー、ウィル・ポールター、ジェシカ・スティーヴンソン、
   ニール・ダッジェオン、ジュール・シトリュク、エド・ウェストウィック、
   アンナ・ウィング、エリック・サイクス

評価:★★★




 ふたりの少年を結びつけるのが「ランボー」(82年)というのが良い。「ランボー」シリーズ自体は全く好きではなく、それどころか苦手にしているくらいなのだけど、ティーンになるかならないかぐらいの少年たちが夢中になるのは理解できる。いきなりスタンリー・キューブリックだとかコーエン兄弟の映画が好きだなんて言われても困っちゃう。彼らにとってジョン・ランボーはウルトラマンや仮面ライダーと同じようなもの。ちょっとリアルなだけ。事実少年たちは、「ランボーの息子だ!」と叫びながら元気一杯に走り回る。多分ガース・ジェニングス監督の思い入れのある映画なのだろう。

 リー・カーター少年を演じるウィル・ポールターがとてもイイ。冒頭、映画館で足を前の椅子に投げ出し、タバコをふかしながら、映画を堂々盗撮する、その面構え!褒められないイタズラをカマしては罰を受けることの繰り返し。その腕白過ぎる言動の背後には、父を早くに亡くし、母が男に走ってしまい、横暴な兄と二人暮らしをしているという孤独があるというのは、少年を取り上げた映画の定石ではあるけれど、ポールターの不敵さに味わいがあるので、ちゃんと白々しくなく伝わってくる。時折見せる笑顔(絶対素の笑顔)、そして終幕に見せる泣き顔とのギャップには、大いにやられる。理屈云々ではなく、マイッタ!

 ウィル・プラウドフット役のビル・ミルナーはフレディ・ハイモアの弟のようなメソメソ顔ゆえもうひとつ興味が持てないのだけれど、少年ふたりの対比を考えるなら、これで良いのだろう。自主映画作りを通じて、すぐさま距離を縮めていく正反対のふたりにはしかし、ほんの僅かなズレがある。リー少年の方が大人なのだ。彼は別に好きで早く大人に近づいているわけではない。家庭環境がそうさせてしまうのだ。終盤になるとこのズレが大問題を引き起こす。このズレに注目したあたり、そしてそれを真実味を失うことなく描き出したところが、最大の収穫だ。デリケートなところを大胆に演出していく。

 フランスからの交換留学生の件は成功半分失敗半分といったところ。少年ふたりの間に軋轢を生じさせる原因として重要な役柄ではあるものの、デフォルメの仕方がバカバカしくて、物語から浮いてしまった感は拭えない。ウィル少年が彼に近づいていくというのは、ちょっと無理があるのではないか。たとえあまりに厳しいキリスト教会の下で息苦しい生活をしていたとしても。

 とは言え、結局悪い印象はない。ラストシーンが見事にキマッているからだ。仲違いして放り出されてしまった映画作りが、ある形となって提示される。それを観たリー少年は大笑いしながら、涙を流す。このときにこみ上げてくるカタルシスが最高。少年たちの絆も、リー少年と兄の関係も、映画への愛も…全てが美しい結晶となっていく。大冒険した演出はないものの丁寧にまとめられた映画。しかし、そうじゃなかったとしても、このラストシーンを見せられたら全ては帳消しになるかもしれない。映画のまとめ方の重要性に改めて気づかされた気がする。





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