ミケランジェロ・プロジェクト

ミケランジェロ・プロジェクト “The Monuments Men”

監督・出演:ジョージ・クルーニー

出演:マット・デイモン、ケイト・ブランシェット、ビル・マーレイ、
   ジョン・グッドマン、ジャン・デュジャルダン、ボブ・バラバン、
   ヒュー・ボネヴィル、ディミトリ・レオニダス

評価:★★




 2003年、アメリカ軍のイラク侵攻が始まった直後に開催されたアカデミー賞授賞式で、ニコール・キッドマンが壇上から語り掛けた。「戦争中のアカデミー賞に対する疑問の声も聞かれますが、芸術は大切です。この仕事に信念を持っているし、それに敬意を表したい」。ハリウッドの芸術に対する結束力は一般人が想像する以上に強固なものだ。ジョージ・クルーニーは同じようなことを考えながら撮ったのではないか。

 『ミケランジェロ・プロジェクト』は第二次世界大戦下、強奪された美術品の数々を取り戻すミッションに参加する男たちの物語。ナチスがいかに雑に芸術を扱っていたのか、クルーニーが最も力を入れて見せるのはそこだ。アドルフ・ヒトラーが実は絵画の才能があったことは「アドルフの画集」(02年)に詳しいけれど、芸術に対する愛情を一切感じさせないまま粗雑に扱われる美術品の数々がお目見えする。全く、本当に、これだけで大いに腹立たしい。

 ミッションに挑むのが兵士ではないのがミソだ。彼らは美術館の職員や建築家、彫刻家、美術商、舞台興行主からなる。多少の訓練は受けても実戦では使い物にならないはずの彼らが、命を危険に晒してまでも芸術を守ろうとする。その価値はあるのか。クルーニーは常にそれを語りかけるものの、残念、その尊い思いに見合った演出は見られない。

 役者の魅力に寄り掛かってキャラクターの個性がさほど見えてこないし、それぞれの得意分野が活かされた活躍も出てこない。長期に渡って美術品が捜索され、かつバラバラの行動も多いため、作戦の重心が定まらないのも問題だ。けれど最大の過ちは、クライマックスと呼べる奪還作戦が影も形もないことだろう。

 キャストの豪華さから、こちらが勝手に「オーシャンズ11」(01年)風の派手な作戦が出てくると期待していたこともあるけれど、それにしてもナチスが美術品を隠しただろう場所に目星をつけて調べるだけとは…。物語に緩急がなく、ほとんど締まりがないと言っても良い外観になっている。チームの短期決戦をケレンたっぷりに描いてくれた方が良かった。もしかするとそれは史実への冒涜と判断したのかもしれない。

 そんなわけで、娯楽を意識したところが驚くほど少ない作りだ。それなのにある人物が地雷と思しきものを踏んでしまったエピソードでは、メンバーが誰も彼から離れることをせず、「仲間だろ」と傍にいるなんていう臭い演出が平然と出てくる。クルーニーの野暮なところが出てしまった感じだ。

 それでもまあ、細部にはまんまとクルーニーの作戦に乗せられた部分もある。例えば、ビル・マーレイとボブ・バラバンが、夜中、森の中でナチスと出くわしてしまう件。煙草を小道具にしてユーモラスな掛け合いを大人っぽいテイストで描写していた。マーレイとバラバンの力も大きい。そこにジョン・グッドマンも絡めて欲しかったというのは欲張りな願いか。





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