エベレスト3D

エベレスト3D “Everest”

監督:バルタザール・コルマウクル

出演:ジェイソン・クラーク、ジョシュ・ブローリン、ジェイク・ギレンホール、
   ジョン・ホークス、サム・ワーシントン、キーラ・ナイトレイ、
   ロビン・ライト、エミリー・ワトソン、マイケル・ケリー、
   マーティン・ヘンダーソン、トーマス・M・ライト、アン・フーラ・シェルパ、
   マーク・ダーウィン、ティム・ダンディ、ディミトリ・ゴリトサス、
   イングヴァール・シーガーソン、トム・グッドマン=ヒル、
   ペンパ・シェルパ、ヴァネッサ・カービー、マイカー・A・ハウプトマン、
   クライヴ・スタンデン、エリザベス・デビッキ、森尚子

評価:★★★




 エベレストの標高は8,848メートルらしい。富士山に挑む気分でエベレストに向かったら大変な目に遭うことは素人でも分かる。『エベレスト3D』で描かれる出来事は、1996年に実際に起こった悲劇を基にしている。3D映画だと思って遊び気分だけで観ると、そのシヴィアな内容に動揺するかもしれない。

 数々の山を経験してきたヴェテランたちが登頂に挑む。彼らでも肉体と精神を整える40日間の念入りな準備期間を必要とする。ある者が言う。「決定権は山にある」。そう、山の決定にはどんなに経験豊かな登山家も敵わない。突然の雪嵐に見舞われても、不運な酸素不足が起こっても、小さな同情心が判断を鈍らせても、そんなことは山には関係ない。平然と表情を変える。

 そう、大切なのは撮影だ。エベレストの表情をどれだけ的確に捉えられるかが意味をなす。3Dはそのために使われる。どこまでも険しく、どこまでも高く、どこまでも美しい山の残酷さ。3Dじゃなくても眩暈を誘う迫力が漲る。機嫌が良いときはその白さが際立ち、それが損なわれると灰色に包まれる。なるほどエベレストこそが主人公だ。

 ただし、その声までは聞こえてきたかどうか。登山を愛する者たちへ優しい顔を見せた次の瞬間、突然牙を剥く、その気まぐれで残酷な性質は伝わるものの、その意思のようなもまで感じさせないというのは無理な要求か。日本的感覚で精霊のようなものを感じたいとまでは思わないものの、せめてそれに通じる詩情は欲しい。もしかしたらこれは、3Dの弊害になるのかもしれない。綺麗でも手で触れられそうな実感を得難い画だ。

 人間たちのアンサンブルはさほど響かない。実力派が集められたものの、サングラスや帽子、手袋にスーツ、そして男たちは髭面率高し…という外見の見分け難さもさることながら、それぞれのキャラクターの山への向き合い方は実にさらりと処理され、話を進めるための燃料として使われるのみ。かと言って、家族が出てくる二名のエピソードは取ってつけたように見えるのだけれど…。

 尤も、人間の小ささは狙い通り、よく分かる。いちばんの見ものは真っ白な険しい山の上を重い装備と共にとぼとぼ歩く人間たちの画だ。それをずっと追うだけでドラマが浮かび上がりそうな気配すらある。どれだけ人間が知恵を絞っても、自然はその上を行く。亡くなった人たちへの敬意を表しつつ、人間の愚かさを辛辣に凝視したところに価値がある。





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