45歳からの恋の幕アケ!!

45歳からの恋の幕アケ!! “The English Teacher”

監督:クレイグ・ジスク

出演:ジュリアン・ムーア、マイケル・アンガラノ、グレッグ・キニア、
   リリー・コリンズ、ネイサン・レイン、ノーバート・レオ・バッツ

評価:★★★




 若い頃のジュリアン・ムーアは喜劇が苦手だったように記憶している。過剰にコメディのタイミングを意識すると、妙に演技のスピードが落ちるのだ。ところが今やコメディでも(ドタバタに走らなければ)安心して観ていられるムーアである。『45歳からの恋の幕アケ!!』(なんと的外れで酷い邦題だ)など、喜劇演技になると露わになるどん臭さや野暮ったさをプラスに変換させて、余裕綽々ではないか。

 物語はありふれたものだ。田舎の英語教師がかつての教え子と再会する物語。教え子の戯曲を舞台化する過程で、彼と良い仲になる…なんていう昼メロのような展開が用意され、けれど決してそれにはハマらない。むしろそれをパロディにしているような気配があるのに注目だ。ポイントはふたつ。

 ひとつは悲劇にも喜劇にも見える英語教師の人生だ。男に恵まれず(俗語を使うならオールドミス)、けれど愛する仕事をきっちりこなし、ある程度の充実感を得ていた彼女が、まるで何かのタガが外れたように何もかも上手く行かなくなる様子。年下男と寝てしまい、嫉妬し、気がつけば坂道を転がり落ちている。ムーアの佇まいには、一緒くたになった哀れみと可笑しみの気配が濃厚に漂う。

 もうひとつは芸術への向き合い方に対する熱と皮肉が感じられる点だ。芸術は痛みから生まれるものだというセリフが出てくるけれど、演劇が形になっていく過程で彼方此方で衝突が発生し、たかが高校生の演劇が、ある種の美をまとい始める。作家のプライドとエゴ。演出家のこだわりと妥協。表現の幅。役者の解釈。

 …そうして話が次々脱線していくのが面白い。英語教師が教え子の本を気に入って舞台化しようとすることから始まる物語が、脇道に逸れ、さらにその脇道に逸れ…ということを繰り返しながら、いつしか再び舞台の物語に戻っていくのが愉快だ。それこそ舞台化したら面白くなりそうな構成だ。明らかに意識的な脱線が繰り返される。

 ムーアの相手役となるマイケル・アンガラノは残念、荷が重過ぎたか、役柄にしっくりこないのだけれど、その父親のグレッグ・キニアと演出家役のネイサン・レインが柄に合った好演を見せる。とりわけレインが面白い。舞台に対する情熱と上から課せられた縛りの狭間で右往左往する様を、絶妙のユーモア感覚で体現し、物語に粘りをつけている。

 劇中劇の物語はもう少し具体的に見せて欲しかった。エンディングに対するこだわりばかりが取り上げられて、全体のストーリーが読めない。それを描き込むことで、もしかしたら「ブロードウェイと銃弾」(94年)のような味が出たのではないか。





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