アクトレス 女たちの舞台

アクトレス 女たちの舞台 “Clouds of Sils Maria”

監督:オリヴィエ・アサヤス

出演:ジュリエット・ビノシュ、クリステン・スチュワート、
   クロエ・グレース・モレッツ、ラース・アイディンガー、
   ジョニー・フリン、ブラディ・コーベット

評価:★★★




 ヴェテラン女優と新進女優を組み合わせた映画だと「イヴの総て」(50年)を思い出してしまうけれど、『アクトレス 女たちの舞台』はショービズ界の裏で渦巻く欲望をどろどろに描き出すアプローチはなされない。20年前の舞台の再演が決まり、それに関わる人々の時間が露わにされる。監督はなるほど、「夏時間の庭」(09年)を撮ったオリヴィエ・アサヤスだ。

 舞台のタイトルは「マローヤのヘビ」と言う。ジュリエット・ビノシュは20年前も出演していて、しかしそのとき演じたのは主人公、今回は彼女の出現により自殺に追い込まれる役どころを手掛ける。20年という歳月の間、ビノシュは着実に活動を続け、今や尊敬されるポジションにいる。彼女にとっての20年とは何だったのか。アサヤスが狙いを定めるのは、そこだ。

 女優とは何か、女とは何かという考察を滑り込まさせるアサヤスのアプローチ。他人になることを仕事にすることで、ビノシュは自分を創り上げてきた。時に苦しみすら覚えるその積み重ねは、時間と共にある。時を追うことは自らが老いることでもあり、ビノシュの心の湖がさざ波を立てる。

 アサヤスはビノシュの傍らにクリステン・スチュワートを送り込む。スチュワートは歳の離れた専属アシスタントで、非常に優秀だ(しかも女優役のビノシュより綺麗)。ふたりの掛け合いには女と女の親密な距離感がある。もちろん同性愛的な意味合いではない。決して簡単な女ではないビノシュと、彼女と四六時中一緒にいるスチュワートの、近いようで遠く、遠いようで近い心の隔たりが、物語の潤滑油になる。スイス、シルス・マリアの絶景も見事な背景になる。

 記憶に囚われるとはどういうことなのか、それが見えてくるのが面白い。20年も前の作品。過去の話だと割り切れないものがビノシュに絡みつく。逃れられない何かが確かにある。舞台のタイトルでもある「マローヤのヘビ」(エンガディン地方で、山間を長い雲が這うように流れる現象)を見に行く場面は、その何かが見えてくるような、逆に見え難くなるような不思議な余韻を湛えている。

 アサヤスは物語の最中に、ついつい今の映画界、とりわけハリウッドに対する苦言を挟む。これは野暮だった。おせっかいな性質が物語の足取りを鈍くさせる。何事も喋り過ぎるのはよろしくない。





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