マイ・インターン

マイ・インターン “The Intern”

監督:ナンシー・メイヤーズ

出演:ロバート・デ・ニーロ、アン・ハサウェイ、レネ・ルッソ、
   アンダーズ・ホーム、ジョジョ・クシュナー、アンドリュー・ラネルズ、
   アダム・デヴァイン、ザック・パールマン、ナット・ウルフ

評価:★★




 ヒロインは三十路を超えたところでファッションサイト会社を立ち上げる。会社が急成長していく中、シニア・インターンである70歳の新人が部下につく。ヒロインを演じるのはアン・ハサウェイだ。…というわけで「プラダを着た悪魔」(06年)のその後を連想するのは必然なのだけど、これは間違いだ。シニア・インターンをロバート・デ・ニーロが演じていて、彼がハサウェイをフォローする、その完璧な仕事ぶりと紳士ぶりを愛でる映画だから。敢えて似ている作品を挙げるなら、日本のTVシリーズ「謎解きはディナーのあとで」(11年)だろう。まあ、デ・ニーロの役は毒舌家じゃないし、演者の器も違い過ぎる。

 ただし、『マイ・インターン』のデ・ニーロは本当に魅力的と言って良いのかどうか。長きに渡る人生経験を武器に、自分の得意分野とはまるで違う企業で次々結果を残すデ・ニーロ。新世界に驚きながら、戸惑いながら、眉を潜めながら、けれど泣き言も文句も言わず、チャーミングな笑顔を振りまくデ・ニーロ。彼はストーリーの中で、全く変化を見せない。彼は既に完成された人間で、作り手は彼から見習う必要性は感じても、彼が何かに影響を受ける様子にはまるで興味を示さない。

 となると、デ・ニーロが積極的にアピールする「お茶目さ」が前面に出る。身分をわきまえ、出しゃばらず、けれどさり気ないサポートは忘れず、しかしそれを誇示せず、笑顔だけは絶やさずに、自分のやるべきことをきっちりやってのける。こんな人が傍らにいてくれたら、男だって嬉しいだろう。でもそのオールドスクールの心地良さに浸かるのを良しとする生温い空気が嫌だ。あぁ、世間はここまで柔になってしまったのか。お茶目の過大評価だ。ビル・マーレイならこんな演技、死んでも拒否するだろう。

 でも、ハサウェイはまんまとそれに乗っかる。自分の立ち上げた会社に誇りを持っている。仕事は好きだし、家族にも恵まれている。けれど、時には嫌なことだってある。そんなときは泣いちゃう。女の子だから。こんなときは肩の力を抜いて誰かに頼りたい。…という願いを都合良く叶えてくれるのがデ・ニーロで、ハサウェイとデ・ニーロの間にロマンスこそ生まれないものの、これは少女漫画なのだ。しかも、ひと昔、ふた昔前の。監督はなるほど、ナンシー・メイヤーズ。

 不思議なのはハサウェイの野暮ったさだ。「プラダを着た悪魔」以後、作品に恵まれ、女優として実力をつけるに連れ、目に見えて垢抜けていったハサウェイなのに、ファッション関係の仕事に就いている今回は、昔に逆戻りしたかのように洗練さに欠ける。選ばれた衣装や化粧のせいか。うーん、なんであんなにケバケバしく顔を作っているんだ?

 せめてデ・ニーロを完璧人間に仕立てなければ良かったのに。ハサウェイと衝突を繰り返すうちに彼の中の何かが変わるのであれば、ドラマにうねりが出ただろう。それかハサウェイがデ・ニーロを扱く話か、問題老人のデ・ニーロがハサウェイを翻弄する話でも良い。とにかく、やたら女に都合良い話は、かえって女性の権利問題が叫ばれる昨今で浮き上がるだけだ。フェミニストを名乗る方々に感想を聞いてみたくなる。





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