ロスト・イン・マンハッタン

ロスト・イン・マンハッタン “Time Out of Mind”

監督:オーレン・ムーヴァーマン
アパート 家賃 行政 光熱費 ドキュメンタリー
出演:リチャード・ギア、ジェナ・マローン、スティーヴ・ブシェーミ、
   カイラ・セジウィック、ベン・ヴェリーン、ダニエル・ブルックス、
   ジェレミー・ストロング、マイケル・ブシェーミ
ビタミン 食物繊維 美容 サプリメント 化粧
評価:★★★
ハロウィン 仮装 コスプレ文房具 レストラン デザート スイーツ



 どこかの団体が発表した統計によると、ニューヨークのホームレスは60,000人を超えたのだという。その内、25,000人が子どもらしい。深刻な社会問題だ。オーレン・ムーヴァーマン(監督・脚本)やリチャード・ギア(製作・主演)はこの危機的状況を見過ごせなかったのに違いない。『ロスト・イン・マンハッタン』でその実態を探る。

 主人公のホームレスをギアが演じる。かつてのイメージを考えれば、これは大きな賭けだ。金を持ったハリウッドスターが演技力を認められたいと、わざと己とは正反対の人物を演じる。そういう計算が透けてもおかしくない。ところがここでのギアに、そのようなあざとさは見えない。役柄の魂に寄り添うように、その絶望的な哀しみを丁寧に掬い上げる。

 ムーヴァーマンはそんなギアの演技をじっくり観察する。ねぐらにしていた空きアパートを追い出され、街を彷徨い、支援施設に辿り着き、なんとか疎遠な娘と連絡を取ろうとする男は、その過程で様々なホームレスに出会う。ホームレスの数だけ境遇は違い、どんな過去があったのか、今の状況をどう受け止めているのか、まさに千差万別。彼らの味方のはずの支援機関も、抜本的な部分から力になってくれる制度の確立ができていない。手を差し伸べられ、けれどそれがホームレスを更に追い詰める悪循環もある。

 ムーヴァーマンが描き出すのはしかし、その現実だけではない。ホームレスとそれ以外の人々の間に横たわる、溝を凝視する。ホームレスに対する対応もまた人それぞれで、ただしひとつだけ共通しているのは、ホームレスとそうでない人々の間には、見えない溝が深く横たわっていることだ。どんな善人であってもホームレスを、どこか無意識の部分で自分とは違う生き物のように感じている。ムーヴァーマンはその気配を厳しく見ている。支援施設のあるホームレスは言う。「ここはドブネズミを囲うための掃き溜めだ」。

 ムーヴァーマンがホームレスになってしまった理由を追及しないのは正解だろう。きっと本人たちだって分からないことだ。ギアはどうしてこうなってしまったのかと呟く。そして自分自身に、自分が誰であるかと問い掛ける。俺は世の中に存在しないのではないか。その苦悩がひりひりと迫る。

 ギアと娘の交流は、実は若干浮き気味だ。他がドキュメンタリーのようなタッチで見せられるゆえに、控えめでもその部分だけ物語性を帯びてしまうためだ。ただ、それぐらいの慈悲はあっても良いではないか。ギアは娘にどれだけ冷たい言葉を投げ掛けられても、おそらく彼女といるときだけは生を実感している。そしてそれが、この映画における、ささやかながら人の体温を感じさせる唯一のカタルシスだ。





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