ドローン・オブ・ウォー

ドローン・オブ・ウォー “Good Kill”

監督:アンドリュー・ニコル

出演:イーサン・ホーク、ブルース・グリーンウッド、ゾーイ・クラヴィッツ、
   ジェイク・アベル、ディラン・ケニン、ジャニュアリー・ジョーンズ

評価:★★★




 かつてないほどに注目を集めたという点で、マスコミが言うように2015年はドローン元年なのかもしれない。けれど、世界警察アメリカはとっくの昔に軍事利用を始めていて、『ドローン・オブ・ウォー』によると、2001年のテロ直後から実用が始まり、2010年頃からは対テロ戦争で活躍していたらしい。そう言えばTVシリーズ「24 -TWENTY FOUR- リブ・アナザー・デイ」(14年)では米軍の無人戦闘機が乗っ取られる様子が描かれていた。

 イーサン・ホークが演じる空軍少佐は中東上空3,000メートルにいるドローンを操作、ボタンひとつでミサイルを発射する任務に就いている。ただし、住んでいるのはラスヴェガス郊外。毎日基地にある小さなコンテナの中からミサイルを撃つ。今の時代、アメリカにいながらにして中東を狙い撃ちできる。その生活の様子はサラリーマンに似ている。極端な話、テロリストを何十人も殺した一時間後に、家族と一緒に笑うことができる。

 ゲーム感覚(半分がゲームセンターでリクルートされるというのはジョーク?)での戦闘に現実味はない。ここには肉体の痛みも切実な恐怖もない。人を殺す、人に殺される、その実感が主張しない。けれどこれが恐ろしいことだと訴える。安全な場所にいながら、それでも「兵士」はしっかり傷を受けるのだ。いや、傷に気づくだけ良いか。きっと本当に傷に気づかない者もいるだろう。その恐ろしさ・悍ましさ。

 ただし、心のバランスの崩れ方に新しい視点はないか。ホークは目の前に起こる悲劇に低音のまま動揺しつつ、その全てを内に仕舞い込む。命令だから仕方ないと割り切る。しかし、割り切れないのが人間で…という流れが戦争映画ではお馴染みのものでしかない。

 もう少し実戦との違いを鮮明に打ち出しても良かったのではないか。ホークは「見え過ぎる」と言う。そう、最先端機器を通して見るターゲットは、実戦よりもはっきり見えてしまう。俯瞰で見る戦争は、そこで生きる人々の営みまでもが透ける。見え過ぎる苦しみがホークの身体を支配していくところをもっと見たかった。

 ホークの家庭の問題は妙に軽い。ジャニュアリー・ジョーンズ演じる妻の無理解がいちいち癇に障る。ちょっとしたメロドラマ風の匂いが漂い、ホークの気の毒な状況を強調するだけで終わる。

 ところでドローンは「drone」と綴る。元々は雄のミツバチを意味する言葉だ。そして雄のミツバチは怠け者を暗示する。ミツバチの飛ぶ音がドローンの語源というのが定説らしいけれど、なかなか深読みできるネーミングではないか。偶然にも日本語の俗語「ドロンする」にも似た響き。操縦者の姿が見えないそれが人の命を脅かす時代。いよいよ世界はどこに向かっているのか分からない、それだけが分かる。その気配が着実に伝わる映画だ。





ブログパーツ

blogram投票ボタン

スポンサーサイト

テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

プロフィール

Author:Yoshi
Planet Board(掲示板)

旧FILM PLANET

OSCAR PLANET




since April 4, 2000

バナー
FILM PLANET バナー

blogram投票ボタン
blogram投票ボタン
人気ページ<月別>
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
最新トラックバック
QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

Friends
福☆こもろ