かけがえのない人

かけがえのない人 “The Best of Me”

監督:マイケル・ホフマン

出演:ミシェル・モナハン、ジェームズ・マースデン、ルーク・ブレイシー、
   リアナ・リベラト、キャロライン・グッドオール、ジェラルド・マクレイニー

評価:★




 ケヴィン・コスナー、ロビン・ライト、ライアン・ゴズリング、レイチェル・マクアダムス、リチャード・ギア、ダイアン・レイン、チャニング・テイタム、アマンダ・セイフライド、ザック・エフロン…。改めて眺めると、錚々たる面子だ。しかもウッディ・アレン並の安定感で送り出される新作。ニコラス・スパークスはいつの間にか、ハリウッドで揺るぎないポジションを獲得している。ハッピーエンドにしろアンハッピーエンドにしろ、全ての作品が同じパターンの展開を見せるというのに。いや、同じパターンの物語構成なのに、あの手この手で見せ方を変えて違う話に装うあたり、もしかしたら偉い作家なのかもしれない。

 そこで『かけがえのない人』だ。もう何本目の映画化なのか分からないこの作品は、スパークス映画の集大成と呼ぶに相応しい仕上がり。あまりにスパークス映画らしくて、呆れを通り越して、もはや笑うしかないという、正真正銘の珍作。仲間内で観たら、きっと突っ込み所(泣かせ所とも言う)の嵐で、盛り上がること間違いなし。

 いや、ディテールはいつも通り、いかにもなロマンティックアイテムで占められる。落ちてきそうな星々。平屋作りの別荘。レコード。オールドカー。ダンス。手紙。雨。嵐。湖。花。ラヴシーンは上品を極めなければならない。言い換えるなら、生々しく見えてはいけない。間違ってもキスで糸を引いてはいけないし、女の乳や男の尻が見えるのもアウトだ。カエルも赤くなる愛の言葉がふたりの熱を彩り、しかし行き着く先には死の匂い。

 これだけならいつものスパークス映画なのだけど、今回は避けられない運命だとか自分の存在する意味だとかにこだわり過ぎたのか、どう甘く見ても強引な要素が目立つこと目立つこと。男の親の冗談のような鬼畜ぶりもさることながら、愛のキューピッド(?)となる無関係の男やもめの善人ぶりも強烈。そして、狙い通り発射される死の弾丸が、それにトドメを刺す。

 過去と現在を行き来する物語。スパークスはご丁寧にもどちらの時代にもとんでもない悲劇を撃ち込む。あまりに酷くて目を疑うことは避けられない。けれど、そこから立ち上がる人々の姿にスパークスは見る。人生の素晴らしさを。それでも人を愛することは美しいと。いや、大抵の人はドン引きというやつじゃないだろうか。最後のヒロインの勘違いの陶酔が怖いぞ。

 現在で起こる悲劇とその後の展開により、オープニングの意味が分かる。いきなり海上の石油採掘基地の爆発事故。「海猿」(04年)でも始まるのかと勘繰ったオープニングは、男のタフネスとラッキーガイぶりをアピールするためにあったのではなかった。奇跡と宿命が交錯し、全てスパークス好みの結末をまとめるためにあったのだ。スパークスの得意気な顔が浮かぶようではないか。調べたところ、スパークスの著作はもうすぐで20冊に届こうとしている。まだまだスパークスはやる気だ。きっと彼は変わらない。己のセルフパロディで生きることを選んだのだ。

 …とここまで書いて気づく。別にスパークス映画はスパークスが監督しているわけではないのだった。でもまあ、良いではないか。スパークス映画を手掛ける監督は、誰も彼も皆、同じようなテイストの画面の演出に終始してしまうのだ。スパークス、恐るべし。





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