October 16-18 2015, Weekend

◆10月第3週公開映画BUZZ


ブリッジ・オブ・スパイ “Bridge of Spies”
 配給:ドリームワークス
 監督:スティーヴン・スピルバーグ
 Budget:$40,000,000
 Weekend Box Office:$15,371,203(2811)
 OSCAR PLANET Score:88.1 BIG WAVE!
 Oscar Potential:作品賞監督賞脚本賞
           主演男優賞:トム・ハンクス
           助演男優賞:アラン・アルダ
           助演男優賞:マーク・ライランス
           助演女優賞:エイミー・ライアン
           撮影賞編集賞、美術賞、衣装デザイン賞
           視覚効果賞、録音賞音響効果賞作曲賞

“Room”
 配給:A24
 監督:レニー・エイブラハムソン
 Budget:-
 Weekend Box Office:$118,298(4) Great!
 OSCAR PLANET Score:87.9 BIG WAVE!
 Oscar Potential:作品賞監督賞脚色賞
           主演女優賞:ブリー・ラーソン
           助演男優賞:ジェイコブ・トレンブレイ
           助演女優賞:ジョアン・アレン
           撮影賞、編集賞、録音賞、音響効果賞、作曲賞

“Beasts of No Nation”
 配給:ブリーカー・ストリート
 監督:キャリー・ジョージ・フクナガ
 Budget:$6,000,000
 Weekend Box Office:$50,699(31) zzz...
 OSCAR PLANET Score:84.0 BIG WAVE!
 Oscar Potential:作品賞監督賞脚色賞
           主演男優賞:エイブラハム・アター
           助演男優賞:イドリス・エルバ
           撮影賞編集賞、メイキャップ&ヘアスタイリング賞
           録音賞音響効果賞作曲賞

“Truth”
 配給:ソニー・ピクチャーズ・クラシックス
 監督:ジェームズ・ヴァンダービルト
 Budget:-
 Weekend Box Office:$76,646(6)
 OSCAR PLANET Score:68.1
 Oscar Potential:作品賞、監督賞、脚色賞
           主演女優賞:ケイト・ブランシェット
           助演男優賞:ロバート・レッドフォード
           編集賞、作曲賞

クリムゾン・ピーク “Crimson Peak”
 配給:ユニヴァーサル
 監督:ギレルモ・デル・トロ
 Budget:$55,000,000
 Weekend Box Office:$13,143,310(2984)
 OSCAR PLANET Score:66.7
 Oscar Potential:作品賞、監督賞、脚本賞
           主演女優賞:ミア・ワシコウスカ
           助演男優賞:チャーリー・ハナム
           助演男優賞:トム・ヒドルストン
           助演女優賞:ジェシカ・チャステイン
           撮影賞、編集賞、美術賞衣装デザイン賞
           メイキャップ&ヘアスタイリング賞、録音賞、音響効果賞、作曲賞

“Goosebumps”
 配給:コロンビア
 監督:ロブ・レターマン
 Budget:$58,000,000
 Weekend Box Office:$23,618,556(3501) Good!
 OSCAR PLANET Score:69.3
 Oscar Potential:作品賞、監督賞、脚本賞
           主演男優賞:ジャック・ブラック
           美術賞、衣装デザイン賞、メイキャップ&ヘアスタイリング賞
           視覚効果賞、録音賞、音響効果賞

“Experimenter”
 配給:マグノリア
 監督:マイケル・アルメレイダ
 Budget:-
 Weekend Box Office:$8,682(3) zzz...
 OSCAR PLANET Score:84.6 BIG WAVE!
 Oscar Potential:作品賞、監督賞、脚本賞
           主演男優賞:ピーター・サースガード
           助演女優賞:ウィノナ・ライダー
           美術賞、衣装デザイン賞

“Meadowland”
 配給:シネディグム
 監督:リード・モラーノ
 Budget:-
 Weekend Box Office:-
 OSCAR PLANET Score:81.7 BIG WAVE!
 Oscar Potential:作品賞、監督賞、脚本賞
           主演女優賞:オリヴィア・ワイルド


※OSCAR PLANET Score…各有力媒体の批評を基にOSCAR PLANET独自の計算法により弾き出した評価バロメーター。作品賞、監督賞&脚本賞レース参戦を目指すのであれば、少なくとも70.0以上は欲しく、80.0以上なら堂々たる資格を具えていると考えて良い。ただし、演技賞や技術賞では作品評価が伸びなくても、候補入りする場合が少なくない。

※Oscar Potential…オスカーチャンスのある部門。太字は特にその可能性が高い。


【総括】
 賞レース参戦を狙った作品が一挙に公開され、しかもいずれも高評価を獲得した週末。

 製作発表時から最も高い期待がかけられていたのは『ブリッジ・オブ・スパイ』。50年代から60年代にかけての冷戦下、保険の分野でキャリアを積んできた弁護士が主人公。彼が自身が担当したソ連のスパイとソ連に捕えられたアメリカのスパイの交換という重要任務に奔走する様が描かれる。監督スティーヴン・スピルバーグ、脚本ジョエル&イーサン・コーエン、主演トム・ハンクス+実話物という、オスカー会員が涎を垂らしていること確実のスリラーだが、なるほどまずは批評家の反応は好意的なものが圧倒的大多数(ニューヨーク映画祭での反応はまずまずといったところだったが、その後じわじわ評価が高まっている)。冷戦スパイ映画の基本をきっちり押さえながら、これまでの同タイプ映画と同じことを繰り返すのを避けようという意思の感じられる作りで、それに貢献しているのは前述の実力のある映画人たちの誠実な仕事とのこと。完璧な内容ではないにしても(彼らのベストではないとの声は小さくない)、超一流の技が方々で光っているという。役者ではソ連のスパイを演じたマーク・ライランスにハンクス以上の賛辞が飛んでいる感。オスカーレース参戦も確実と見られ、作品賞や監督賞といった主要部門はもちろん、技術部門でも健闘することだろう(演技賞はハンクスの主演賞よりもライランスの助演賞の方が有力か)。ただ、興行成績はやや気にかかる。娯楽性もある内容ゆえビッグヒットが期待されたが、可もなく不可もなくの出足。何とか1億ドルを突破したいが、そこまでの馬力あるパフォーマンスを求めるのは酷か。

 『Room』はエマ・ドノギューのベストセラーの映画化。ある事件をきっかけにルームと呼ばれる部屋で監禁されて暮らす母と息子がそこから脱出、新しい世界に直面する物語。トロント国際映画祭で公開されるや否やBUZZが沸騰、瞬く間に今年の賞レースコンテンダーへと躍り出たインディーズ映画(トロント映画祭観客賞受賞)。批評家は映画祭のBUZZが本物であることを証明するかのように、今年を代表するインディーズ映画だと最大級の賛辞を贈っている。暗く特異な設定に溺れることのない、胸をかきむしられるエモーションが炸裂。決して心地良くなれる話ではないものの、人間という生き物の内面を深く掘り下げた内容は充実の一言。母息子を演じるブリー・ラーソンとジェイコブ・トレンブレイの演技はいつまでも心に残るという。とりわけ注目はラーソン。「ショート・ターム」(13年)ではオスカー候補まであと一歩というところまで迫っていた注目の若手女優が、この作品により初の主演女優賞候補を確実なものにしている(現時点での受賞最有力との見方が強い)。また、既にその評判は良質オファー殺到という形になって表れていて、スターパワーを急激に上昇させている。そしてラーソンのBUZZが盛り上がれば、その他の部門でもBUZZが伸びてくるはずで、作品賞や監督賞(レニー・エイブラハムソン)、助演男優賞(トレンブレイ)、助演女優賞(ジョアン・アレン)等も候補チャンスがあるだろう。個々の熱狂具合は『ブリッジ・オブ・スパイ』よりも激しい。限定公開から始まった戦略もズバリ当たり、ストロングスタートになっている。

 『Beasts of No Nation』も原作物で、ウゾディンマ・イウェアラのベストセラーの映画化。西アフリカの架空の国を舞台に、父を殺された少年がゲリラ兵になっていく様が描かれる。鳴り物入りで日本に上陸した割りにはコンテンツが少ないと不満の声が挙がるNetflixが手掛けていることでも話題。紛れもない現実を容赦ない描写で描き出していく演出力と脚本力。それに応えるエイブラハム・アターとイドリス・エルバのパフォーマンス。痛切に心に突き刺さるメッセージ。Netflixの初映画はプレミア上映されたヴェネチア国際映画祭同様、批評家に熱狂的に迎えられている。当然賞レースへの期待も大きくなるが、劇場公開と同時にインターネットでの配信がスタートするという公開形式に不満を持っている映画人も多いようで、アカデミー会員がそれをどう受け止めるのかで、オスカーでの票の行方が大きく変わるはず。批評家賞では認められても、オスカーでは無視ということもあり得ない話ではないだろう。普通に考えれば、エルバは助演男優賞候補確実の絶賛評を獲得しているし、作品賞や主演男優賞(アター)でも認められておかしくないのだが…。なお、興行成績はシアターアヴェレージ僅か1,635ドルに留まった。配信と同時公開ということを差し引いても極めて厳しい結果。賞レースに悪影響を与えるかもしれない。

 『Truth』も原作があり、「60 Minutes」のプロデューサー、メアリー・メイプスの自叙伝をベースにしている。再選を目指す大統領ジョージ・W・ブッシュの軍歴詐称疑惑を暴こうと奔走する人々をメイプスの視点から描き出す。トロント映画祭ではケイト・ブランシェットの演技を中心に評価された作品だが、批評家の反応も大体同じようなもの。確固たる意志を持って仕事に挑むヒロインの姿とそれを表現するブランシェットの演技が大いに魅力的で、鍵を握るロバート・レッドフォードも好演を見せているという。ただし、教訓めいた物語や実話性に囚われてしまった演出に対しては苦言もちらほら。賞レースでは同じくジャーナリズムを取り上げた『Spotlight』の影に隠れてしまう可能性が高い一方、ブランシェットの勢いに乗って作品賞でも健闘するのではないかとの見方もある。ただし、そのブランシェットは『Carol』という強力作品も抱えていて、どちらも主演女優賞でプッシュされる。オスカーでは同じ部門でWノミネートされないという規定があるため、こちらでの票は集まらない可能性が高い。…となると、それに伴い、作品賞BUZZも小さくなってしまうかもしれない。興行成績で結果を残し賞レースアピールをしたいところだが、週末成績は平凡なものに落ち着いている。

 『クリムゾン・ピーク』は19世紀の北イングランドを舞台に、夫が見かけ通りの人間ではないことに気づく若い女性作家が遭遇する怪現象を描く。ギレルモ・デル・トロが監督ということで、ホラーとは言えヴィジュアルが見ものだと声が多数挙がっている。昔ながらのゴシックホラーの世界に展開されるデル・トロならではの美意識は、ホラーファンだけのものにしておくには勿体ないと批評家の反応は概ね好意的。ミア・ワシコウスカを始めとする実力派たちのアンサンブルも見もの。尤も、メロドラマ的展開や絶叫するほどの恐怖はないこと等を嘆いた評も少なくはない。賞レースに絡むとするなら撮影賞、美術賞、衣装デザイン賞、或いはメイキャップ&ヘアスタイリング賞だろうが、現時点では参戦の空気に乏しい。また、興行的にも伸び悩んだ印象がある。ハロウィンシーズンにぴったりの作品だと思われるが、子どもよりも大人にアピールする内容ゆえに、仕方がないところか。

 R・L・スタインの児童小説を映画化したのが『Goosebumps』で、そう、こちらこそがハロウィンシーズンに向けての本命。物語にスタイン自身が登場。彼が記した恐ろしい怪物たちが実体を得てしまい、スタインと少年がそれに立ち向かう様が描かれる。プレミアではスタインになり切ったブラックが、「ジャック・ブラックはこの役でアカデミー賞を受賞する」と予言したが、そうならないにしても好レヴューが並んでいる。語りのペースには問題があり、騒がしいだけに見えるところもあるが、恐怖と笑いのバランスがお見事で、ハロウィンに観るには最適の一本との声が多い。ジャック・ブラックの個性も活かされている。ただし、この作品に関して言えば、興行成績の方により注目が集まる。2,361万ドルという数字は、このところ大ヒット作から遠ざかっていたブラックにとっては嬉しいスマッシュヒットと呼べるもので、作品次第で大きな注目を集められることを証明したと言って良い。

 『Experimenter』はスタンレー・ミルグラムの伝記映画。ミルグラムはその名もミルグラム実験で知られる社会心理学者。ミルグラム実験とは1961に年イェール大学で行われたもので、電気ショックを与えることにより権威者の指示に従う人間の心理状況をテストするもの。この実験はおそらく心理学に興味がない人にも良く知られているものだと思われるが、それを差し引いても物語を貫く緊張感は充実のレヴェルにあるとのこと。ピーター・サースガードやウィノナ・ライダーの演技もサスペンスを盛り上げるのに大いに貢献しているという。オスカーレースに食い込むには作品規模が小さく、興行成績も伸びないなど、BUZZの創造には失敗しているが、インディペンデント・スピリット賞で認められる可能性はあるだろう。





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