ピエロがお前を嘲笑う

ピエロがお前を嘲笑う “Who Am I - Kein System ist sicher”

監督:バラン・ボー・オダー

出演:トム・シリング、エリアス・ムバレク、ヴォータン・ヴィルケ・メーリング、
   アントニオ・モノー・ジュニア、、ハンナー・ヘルツシュプルンク、
   トリーヌ・ディルホム、シュテファン・カンプヴィルト

評価:★★★




 あまり頭がよろしくないのか、それともそういうプロモーションをしろという指令を受けているのか、配給会社は「騙し」の仕掛けをやたら煽る。「容疑者」の自白により話が進められる物語構造。…となると、カイザー・ソゼというスターを生んだあの映画(95年)にウインクしていることは明らかで、騙し云々についてはそれに気づいた人だけ頭の片隅に置いておけば良いだろう。

 騙す騙されるがなくてもドイツ映画『ピエロがお前を嘲笑う』は滅法面白い。透明人間として存在感なく生きてきた若者がハッキング集団に加入、人生を一変させていく。合言葉は「大胆にやれば、世界はひれ伏す」。そしてその通り、企業や政治団体、或いは国際警察機関といった大物相手のハッキングには、それに見合ったサスペンスと快感が満ちている。

 インターネットが話に取り上げられると、画面は単調になりがちだ。ところがここでは肉体の躍動が疎かにされない。下準備に必要な「侵入」にはスパイ映画の趣があるし、捕まる捕まらないのキャット&マウスなシンプルな要素に刺激がたっぷりある。主人公が特に運動神経抜群のタイプではないのも気が利いている。

 ここに青春ドラマのエッセンスが入り込む。ひとりの青年が芋虫から蝶へと変身を遂げる気持ち良さ。しかし、恋模様はなかなか上手くいかない。恋愛がきっかけで立場が危うくなる件には素人の匂いが漂う。それがマイナスにならないのは、そのもどかしさに真実味があり、それ自体が青年の魅力に繋がっているからだ。

 主人公が取り調べを受ける際のフードファッションはエミネムを思わせる。いや、「ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル」(11年)のときのトム・クルーズか。その実態が掴み辛いのが面白い。観客は話が進めば進むほどに青年の話に疑いを抱く(伏線として不可解な情報が落とされる。刑事より先に疑問を抱く)。作り手はそれを笑い飛ばす。仕掛けはそう、単純だ。

 咄嗟に「ラン・ローラ・ラン」(97年)を思い出す。同じドイツから飛び出した中毒性の高い画面のアクション映画。撮影と編集のリズムに通じるものがあるのだろうか、ここでは走る画面は限られているのに、登場人物がずっと走っている印象がある。大物ハッカーMRXとの電子世界上のやり取りにはシュールな味があり、それが平然と物語に溶け込む。ロイヤル・ブラッドによる高音圧ナンバー「Out Of The Black」を始め、スピードと粘りのある音楽が耳に残る。それはまるでドラッグでトリップしているような(もちろん想像)感覚。それを抜け出した先にある爽快感が素晴らしい。





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