キングスマン

キングスマン “Kingsman: The Secret Service”

監督:マシュー・ヴォーン

出演:タロン・エガートン、コリン・ファース、マイケル・ケイン、
   マーク・ストロング、ソフィア・ブテラ、サミュエル・L・ジャクソン、
   ソフィー・クックソン、マーク・ハミル、ハンナ・アルストロム

評価:★★★




 コリン・ファース扮するスパイがこんなことを言う。「Nowadays, they're all a little serious for my taste」。これはおそらくマシュー・ヴォーン監督の思いでもあるのだろう。憧れの職業だったスパイなのに、昨今映画で描かれるそれはシリアス過ぎる。『キングスマン』を作ることで、ヴォーンがスパイ映画にオマージュを捧げていることは間違いない。

 そう、オマージュだ。パロディではない。アクション場面だけ取り出せば、ヴォーンがちゃんと「今の映画」を目指していることは明らかだ。ユニークな構図。軽快なUKロック。柔軟性あるスローモーションとクイックモーション。アクロバティックな体技。カット割りは決して目に優しくないのに、肉体のスピードや躍動が殺されていないのが上等のアクション描写であることの証拠だ。

 スパイ映画では忘れてはいけないガジェットも大人っぽく処理される。傘やステッキ、万年筆、ライターが別の表情を見せる愉しみはたっぷりあり、けれど、いかにも見せびらかすような使い方はなされない。最先端でありながら、古めかしくもある(古臭くはない)匂いが良い。

 しかも、ヴォーンはそこに英国紳士的エレガンスのエキスを注ぎ込む。華のあるアクションを見せるのがファースなのは、そういうわけだ。いかにも英国的な佇まいのファースがスパイ・アクションの世界に放り込まれるだけでも新鮮なのに、それが最先端のテクノロジーの助けを借りて、まるでバレエでも踊っているかのようなショックを与えることに成功する。安食堂でのチンピラとのバトル、教会での孤独な戦いなど、いつまでも目に残る。

 ファースが所属する諜報組織キングスマンは、表向きは高級テーラーだ。ヴォーンはこの映画を、高級スーツを仕立てるような感覚を意識して撮ったのではないか。オーダーメイドのスーツは着る人物が最も美しく見えるように測った上で作られる。ファースには、マーク・ストロングには、そしてタロン・エガートンにはどんなスーツが似合うか。それを細かく計算し、その積み重ねが映画を創り上げる。カフスボタンをアクセントに置いた高級スーツの男たちの優雅なアクション。戦いの場面ではスーツが醸し出す切れ味が意味を持つ。

 ヴォーンは所謂お決まりの展開を良しとせず、二重三重、予想外の方向へ物語を進める。ホッとした次の瞬間にギョッとする画が出てくることも少なくない。ただ、その狙いが透けて見え過ぎている嫌いはあるか。残酷なテイストをポップに変換する技も少々癇に障る。それが映画の外観に多少の脂肪をつけてしまった。惜しいところだ。





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