しあわせへのまわり道

しあわせへのまわり道 “Learning to Drive”

監督:イザベル・コイシェ

出演:パトリシア・クラークソン、ベン・キングスレー、ジェイク・ウェバー、
   グレイス・ガマー、サリタ・チョウドリー、ダニエラ・ラヴェンダー

評価:★★




 物語や演出よりも先に目が行くのは、ベン・キングスレー演じるインド人タクシー運転手が終始被っているターバンだ。常々思っていたことだけれど、このターバン、見せ方によってはなかなかオシャレ。ここではピンクやら赤やらカラフルなターバンが出てくる。それだけでも楽しいのに、ネクタイやシャツに合わせてヴィジュアルを刺激、ファッション性を大いにアピールする。サリーのデザインも含め、目に愉快だ。

 おそらく生活費に充てるのだろう。ニューヨークで生きるキングスレーは車の路上教習の仕事も掛け持ちしている。その彼に習うことになるのが離婚ほやほやの書評家パトリシア・クラークソンだ。『しあわせへのまわり道』はふたりが教習の過程で、新しい自分を見つける様を描く。すなわち定番ストーリー。

 イザベル・コイシェはどうやら人生と車の運転を重ねて見ているようで、キングスレーがクラークソンに運転技術を教える際の言葉がいちいち人生教訓に聞こえるのが可笑しいと言うか(狙い過ぎが)恥ずかしいと言うか。サインを見逃してはいけない。予測することが大切。話に夢中になると周りが見えない。…はい、そうですか。

 それでもやはり、演技派クラークソンとキングスレーの掛け合いは退屈とは無縁だ。驚くほど緻密に演技を組み立てるクラークソンはしかし、それが嫌味に映らないのが稀有な人。ニューヨーカーで、金を持っていて、知性もあって、老けてもスタイルが良くて、しかもキングスレーと並んでもしっくり来る。運転に慌てて「お茶目」に走っても哀れに見えないのも、年齢を考えれば天晴れなことじゃないか。

 インドからアメリカに亡命してきたキングスレーの暮らしはもっとじっくり見せるべきだった。わけありの甥っ子やその他のインド人たちとの共同生活。インドからやってきた初対面の結婚相手。謂われなく受ける差別。彼もまたクラークソンとの出会いにより変わっていくという展開を用意するのなら、そのアイデンティティーにまつわる苦悩をもっと突いても良かっただろう。

 コイシェはクラークソンとキングスレーのケミストリーに熱心になるあまり、物語を練ることを忘れてしまう。予測通りの展開。無難なメッセージ。安全な着地点。ちょっと良い話風にまとめなくても良かったのでは?ニューヨークが相変わらず器の大きな表情を見せているのだ。もっと大胆にふたりの関係を掻き回して欲しかった。





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