マチェーテ

マチェーテ “Machête”

監督:ロバート・ロドリゲス、イーサン・マニキス

出演:ダニー・トレホ、ジェシカ・アルバ、ロバート・デ・ニーロ、
   スティーヴン・セガール、ミシェル・ロドリゲス、ジェフ・フェイヒー、
   ドン・ジョンソン、リンジー・ローハン、チーチ・マリン

評価:★★★




 のっけからダニー・トレホの凶悪面にやられてしまう。どの角度から見ても、どう優しい目で見ても、善人とは思えない。何しろ若い頃は強盗や薬物違反で何度も服役していたという、ホンマモンの(元)ワルである。ちょっと演技力のある俳優がメイクの力を借りて悪人顔を作り上げるというのとは、全然凶悪度のレヴェルが違う。

 それにしても強烈な顔だ。キメの粗い肌。デコボコの鼻。地雷でも入っていそうな目の下の弛み。一週間ぐらい平気で洗ってなさそうな長髪。少なくないシワの中には深く刻まれたヤクザな傷まで見える。なんか人でも平気な顔して喰ってしまいそうだ。この男が鋭い眼光を光らせながら、襲い掛かってくるのだ。そりゃもう、大抵の人間は動くことすらままならず失禁必至。ロン・パールマンあたりも凶悪顔をしているけれど、あちらは「ヘルボーイ」(04年)に主演しているように、同時に愛らしさも具えている。トレホには愛らしさなど全くない。このトレホがヒーローを演じるのが『マチェーテ』で、この配役だけでも映画の半分は成功したようなものだ。

 トレホを主演に迎えたからだろうか、ロバート・ロドリゲス(なんとトレホは彼のまたいとこだとか)が「エル・マリアッチ」(92年)の頃を思わせるパワフルな演出で飛ばしている。トレホを演じるマチェーテが悪党の家に乗り込んでいくオープニングから、唖然とするアクションの連打。スプラッター映画のように血が流れ、首が刎ねられ、死体が勢い良く吹っ飛んでいく。そこには素っ裸の女がいて、マチェーテがその状態のまま女を担ぎ上げるショットまである。女がケータイを隠している場所にもビックリ。ロドリゲスは宣言しているのだ。この映画はこういう映画だと。

 マチェーテは銃をほとんど使わない。代わりに鉈を振り回す。敵だと判断すれば、その鉈が四方八方から飛んでくる。当然血塗れだ。はっきり言って、極めて残酷。残酷だけれどしかし、ここには笑いもある。ロドリゲスの暴力への向き合い方が無邪気で、画面も劇画的に処理されているからだ。これだけ画面が血で溢れても、ちっとも血生臭くない。腸がロープとして使われたり、ハイヒールが凶器になったり、車がぴょんぴょん跳ねたり…アクションに注ぎ込まれたアイデアがいちいち可笑しい。女たちが振り撒くエロもチープで、ご機嫌な隠し味。

 トレホ以外のキャストもハマっている。ロバート・デ・ニーロ、スティーヴン・セガール、ドン・ジョンソンが悪役に配されているのが楽しいし(特にデ・ニーロの縛れた状態でのうさぎ跳びに笑った!)、トレホ同様ロドリゲス映画の常連であるチーチ・マリンの登場も嬉しい。女たちも頑張っていて、ミシェル・ロドリゲスのタフさもジェシカ・アルバの愛らしさも、実にツボを押さえた魅せ方(ふたりが睨み合うシーン、サイコー)。リンジー・ローハンの思い切った演技も、うん、イイじゃないの。彼らは皆、トレホを盛り立てるために存在する。彼の人喰い顔を考えながら何度も思う。どんな映画だ!

 観終わった後に訪れるカタルシスは、マチェーテの大暴れにアメリカにおけるメキシコ系の人々の憤懣がぶつけられていることによるところも大きいだろう。でもロドリゲスは、それを前面に押し出すような野暮なことはしない。あくまで視覚を刺激するアクション優先の演出になっていて、それが正解だ。





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