マッド・ガンズ

マッド・ガンズ “Young Ones”

監督:ジェイク・パルトロウ

出演:マイケル・シャノン、ニコラス・ホルト、エル・ファニング、
   コディ・スミット=マクフィー、ロバート・ホッブス

評価:★★★




 背景となる世界は、水資源が枯渇した近未来だ。SFと呼ぶことも可能だろうけれど、『マッド・ガンズ』はそれよりも西部劇と言った方がしっくり来る。どこか神話めいた匂いが感じられるのは、偶然ではないだろう。愛憎が入り混じったシンプルな人間関係に時折、純真無垢なものがちらつき、それが西部劇の郷愁と密着する。まあ、「マッドマックス 怒りのデス・ロード」(15年)と地続きの世界に見えなくもないのは、ご愛嬌。

 物語は三章に分けられる。マイケル・シャノン演じるアーネスト・ホルム。ニコラス・ホルト演じるフレム・レヴァー。コディ・スミット=マクフィー演じるジェローム・ホルム。以上がそれぞれの章の主人公で、視点が変わることで物語の表情ががらりと変わるのが面白い。

 第一章はシャノンの演技が見ものだ。配給物資の運搬を生業にしている彼は、仕事人であり父であり夫だ。そのいずれもの表情が、これまでのシャノンが見せてこなかったものだ。穏やかさと洞察力を同時に感じさせながら、不思議な佇まいを創り出す。過去にアルコール絡みの問題を起こしているという設定も無駄にされることになく、演技に取り入られる。

 第二章は善良な人を当てられやすいホルトのイメージ一新が見もの。言葉を巧みに操り、その狡猾さをハンサムなマスクに無理なく溶け込ませる。少し前までは顎の細さが大いに気になったのに、最近はすっかり逞しさを身につけている。無精髭が汚く見えないところにホルト独特の清潔感があり、それが役柄の狡さの裏に人間的弱さを滑り込ませる助けになる。ひょっとすると今後、クリスチャン・ベールのように化けるかもしれない。

 シャノンの息子役のスミット=マクフィーが主人公になる第三章は青春ドラマが色濃い。喪失感に打ちのめされた少年が、復讐を誓うことで大人になることを余儀なくさせる過程が丁寧に描かれる。それにより物語全体に、父息子のドラマを浮上させるのも上手いところだ。ただ、ここはクライマックス、もう少しアクションを派手に演出しても良かっただろう。

 ヴィジュアルが美しい。砂漠が広がる白い画面のインパクトもさることながら、近未来映画らしいガジェットの登場が嬉しい。操り人形型歩行機、扇子型の携帯電話、ごつごつしたドローン、何より動物型の運搬マシーン。西部劇的ヴィジュアルにメカがさり気なく落とされていく。やり過ぎないのが良い。

 女たちの存在感の薄さはに気になるところだ。男に寄り添う存在に主張が感じられない。シャノンの娘としてエル・ファニングがせっかく配役されているのに、陰謀交じりのストーリーに直接的に絡むことがない。ファニングがホルトの子どもを宿すという唐突な設定さえ、活かされることがないのに首を傾げる。





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