アナーキー

アナーキー “Cymbeline”

監督:マイケル・アルメレイダ

出演:イーサン・ホーク、エド・ハリス、ミラ・ジョヴォヴィッチ、
   ジョン・レグイザモ、ダコタ・ジョンソン、ベン・バッジリー、
   アントン・イェルチン、ピーター・ゲレティ、ケヴィン・コリガン、
   ヴォンディ・カーティス=ホール、ジェームズ・ランソン、
   ビル・プルマン、デロイ・リンドー

評価:★★




 愛と憎しみ。陰謀。策略。すれ違い。邪念。無垢。積年の怨み。権力。抗争。家族。恋人。男装。仮死。亡霊。…なるほど、次々頭に浮かぶ言葉は、ウィリアム・シェイクスピア劇そのものだ。『アナーキー』はシェイクスピア劇「シンベリン」の映画化。それも現代に舞台を移してのそれになる。

 マイケル・アルメレイダは「ハムレット」(00年)でも同じ試みをしている。シェイクスピア劇の根底に敷かれた普遍性を信じているのだろう。舞台は英国からアメリカへ、シンベリンの敵対勢力はローマ軍から警察へ、シンベリンは国王からギャングに置き換えられる。ただし、登場人物の立ち位置はそのままで、そこにセンスが必要とされるわけだ。

 ところが残念、目を引くのはどうも、古めかしい物語よりも何よりも、ディテールの現代感に限定される。シンベリンは革ジャンを着こなし、ポステュマスはよれよれTシャツを着てスケボーで移動。タブレットやスマートフォンで情報を集め、Googleも大活躍。テレビにはバラク・オバマが映り、レコードからはレゲエが流れ出す。ディテールの過剰な目立ち方が、映画全体をシェイクスピアのパロディのようにも芸能人の隠し芸のようにも見せる。

 そうすると原作通り、あまりに複雑に入り組んだ人間関係がギャグでしかなくなる。ただでさえ平凡とはかけ離れた人間関係が、昼メロを通り越し、コントを潜り抜け、誰しもが二面性を抱えるという当たり前のことに頼った頭でっかちなそれとなる。ハッピーエンドと言えるかもしれない結末など、本当に「ギャグ」。笑うなと言う方が無理。

 役者は生涯一度はシェイクスピア劇を演じたいとよく言う。セリフの裏に潜むものを掬い上げることに、表現者として歓びを感じるからなのだろう。けれど、登場人物の演出と演技が噛み合わないと、気の抜けた人物にしか見えないのには注意するべきだ。ここではヤーキモー役のイーサン・ホークが犠牲となる。イノジェンの裏切りをでっち上げるために屋敷に忍び込む方法が、ポステュマスを誤解させる方法が、あぁ、何ともまあ滑稽な。前者で見せるブリーフ姿は何なんだ。

 登場人物それぞれに見せ場が用意されるのにさほど心に残らない中、イノジェン役のダコタ・ジョンソンはフレッシュさで目を引く。男装場面が用意されたのが勝因だ。まだまだあどけなさの残る顔立ちがプラスに働き、髪をブロンドに染めヴェリーショートにすれば、はい、美少年の出来上がり。何なら、彼女を「主人公」に置いて物語を再構築した方が面白かったのではないか。





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