パーフェクト・メモリー

パーフェクト・メモリー “Amnesiac”

監督:マイケル・ポーリッシュ

出演:ケイト・ボスワース、ウェス・ベントレー、
   オリヴィア・ローズ・キーガン、シャショウニー・ホール、
   リチャード・リール、パトリック・ボーショー

評価:★




 ケイト・ボスワース演じる妻が可笑しい。ウェイヴのかかったブロンドと育ちの良さを悟らせる上品な装い。言葉遣いはゆっくりと静かで、物腰も穏やかだ。光と影が大いに意識され、紗がかかったようなレトロステペクティヴな画面は、彼女を美しく撮るためにある。けれど、怖い。綺麗だけれど、怖い。

 そんなわけで『パーフェクト・メモリー』は、理想を絵に描いたような女が男を監禁する物語だ。初めから怪しさ全開のボスワースが交通事故により記憶喪失になったウェス・ベントレーを看病する。…と見せかけて監禁を試みる。事情は別にして状況は明らかなのに、勘の悪いベントレーはそれになかなか気づかない。いかにして女の監禁から逃げ出すかに焦点を置いたB級アクションにした方が断然面白いのに。

 見せ場はボスワースがベントレーを甚振る画だ。だだっ広い無機質ない一室、SM風にベッドに縛りつけるところから始まり、身体の動きを鈍くする薬を注射し、電気を流して服従を強い、暖炉の火掻き棒を振り回し、半田ごてで傷口を塞ぎ…。ボスワースとベントレーなら普通は設定を逆にするところだろうに、ボスワースが楽しげに怖い女を演じている。「自己満足」という言葉が浮かぶ。

 ある「作業」をするときのボスワースのスタイルが良い。わざわざ往年のハリウッド女優が着そうな毛皮のコートを着て、電気のこぎりを動かす。もちろん顔は無表情だ。コートを脱ぎ去ったスタイルはフラッパーガール風。クラシカルな髪型との相性が抜群だ。なぜわざわざこのスタイルなのか、全く持って意味不明。ついでに言うと、時折東MAX張りに会話に雑学を挟んでくるのはどういうわけか。笑えるじゃないの。別にどうでも良いけど。

 ベントレーがやられっぱなしなのがストレスが溜まる。ベントレーとボスワースの優勢・劣勢が次々変わる展開にしないと、さすがに監禁の画だけでは、物語にも画面にも抑揚が出ない。地下に監禁されている少女や謎の死体も話を強引に作った結果の産物ではないか。なお、話の真相も大して面白くない。まあ、そんなところだろうという身勝手な理由に落ち着く。

 それにしてもベントレーが不憫だ。「アメリカン・ビューティー」(99年)で頭角を現した頃のようなデンジャラスな匂いはすっかり消え失せて、ジョシュア・ジャクソンみたいな風貌になってきた。ピークは「サハラに舞う羽根」(02年)の頃か。画面に不穏な空気を持ち込んで、映画の刺激剤になっていたのが懐かしく、それを思うと今の扱いが寂しく感じられる。





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