彼は秘密の女ともだち

彼は秘密の女ともだち “Une nouvelle amie”

監督:フランソワ・オゾン

出演:ロマン・デュリス、アナイス・ドゥムースティエ、
   ラファエル・ペルソナーズ、イジルド・ル・ベスコ、
   オーロール・クレマン、ジャン=クロード・ボル=レダ

評価:★★




 男は二種類に分けられる。女装が似合う男と似合わない男だ。ロマン・デュリスは後者だろう。ダニエル・デイ=ルイス的(或いはフランケンシュタインの怪物的)額の主張と長嶋茂雄張りに濃いヒゲが…どう考えてもキツい。それなのに、あぁ、『彼は秘密の女ともだち』でデュリスは女装趣味の男に挑む。ギャスパー・ウリエルあたりに任せておいてよ!

 …という叫びはしかし、次第に萎んでいく。意外にもデュリスの女装がそんなに悪くはないのだ。額はウィッグで上手に隠しているし、身体の線や所作も違和感なし。とりわけ脚の綺麗さ・細さに驚く。後ろ姿はパーフェクトだ。ヒゲだけはどうにもならなかったものの(よって話にヒゲネタが組み込まれる)、役柄を考えれば許容範囲だろう。ヒラリー・スワンクに似ていると言えなくもない。

 妻を亡くしたことをきっかけに「女になる」欲望を解放させるデュリスと、その彼を受け入れる妻の友人アナイス・ドゥムースティエ。ふたりの関係が…ややこしい。デュリスはゲイではなく女が好きなのだと言う。ドゥムースティエは死んだ友人との関係に同性愛的匂いが仄めかされる。ではふたりが惹かれ合っているのは、何の力が、何の本能が働いているのか。

 フランソワ・オゾンは結局のところ、心や身体の反応するままに自分を受け入れる大切さを説く。セクシャリティ云々にこだわって雁字搦めになるのは面白くない。その意見には全面的に賛同するのだけれど、あまりに理解が良過ぎて、肝心の登場人物たちの心模様がごまかされて見えるのは不幸だ。

 ふと思う。オゾンはひょっとして映画製作に慣れ過ぎてしまったのではないか。演出は軽快だし、脚本も滑らかだ。けれど、そつなく無難にまとめた気配が拭えない。ユニークな(はずの)性の壁の切り崩しにサスペンスが感じられないと言い換えても良い。この作品の前身にも思える「サマードレス」(97年)には、少なくとも題材に対する一定の緊張感と毒気があったことを思い出す。

 そう、そう言えばこの映画、オゾン映画特有の毒が全く感じられない。デュリスの女装趣味に対する周囲の反応がほとんど描かれないのもあるものの、それよりも登場人物へ接近が過ぎたのではないか。主人公の苦悩への優しい態度が、かえって性にまつわる不寛容を見え辛くして、ちょっとしたお伽噺テイスト。デュリスは最初から最後まで丁重に扱われ、ほとんど甘やかされている。その傲慢さ、狡さに踏み込んで欲しかった。





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