ボヴァリー夫人とパン屋

ボヴァリー夫人とパン屋 “Gemma Bovery”

監督:アンヌ・フォンテーヌ

出演:ファブリス・ルキーニ、ジェマ・アータートン、ジェイソン・フレミング、
   イザベル・カンディエ、ニールス・シュナイダー、メル・レイド、
   ピップ・トレンス、ケイシー・モッテ・クライン、エディット・スコブ、
   パルカル・アルビロ、エルザ・ジルベルスタイン

評価:★★




 おフランスのノルマンディー地方、田園が広がる田舎にあるパン屋のオヤジは大の「ボヴァリー夫人」好きだ。その隣家に英国人夫婦が引っ越してくる。彼らのラストネームがボヴァリーだったことで、オヤジは若妻の方が気になって仕方なくなる。危険だ。『ボヴァリー夫人とパン屋』は話の取っ掛かりからして気持ち悪い。

 作り手は彼女を監視するようなオヤジの行為の数々をどう見ているのか。妻に行いを非難させることでストーカー的側面を指摘しているものの、むしろその眼差しの中に文学への憧憬、そして男が女を一途に想う気持ちに重きを置いて眺める。紳士性、或いは純情なんて言葉もちらつく。ウゲッ。どうしたんだアンヌ・フォンテーヌ。

 「ドライ・クリーニング」(97年)ではスタニスラス・メラールから冷たく絡みつくような妖気と官能を引き出していたフォンテーヌなのに、ここに見えるオヤジの視線は、ほとんどパトリス・ルコントに近いものがある。「傍らで見守る俺」を美化して行為の正当化を図る。そしてオヤジや夫人の周囲には仄かな官能が立ち上がる…ということらしい。

 ボヴァリー夫人を演じるジェマ・アータートンの口元をじっくり撮ったり、パンをこねる姿を艶めかしく切り取ったり、窓越しに遠くから見つめることで想像力を刺激したり…官能を意識した場面は少なくないものの、上質であれば毛穴に沁み入るはずのそれが一向に濃くならない。狂気が浮上すればまだ良かったのに、それもない。

 結果残るのは、男を見る目のない哀れな女の姿で、アータートンがどんどん愚かに見えてくるのは良いのだろうか。失恋の反動で結婚し、楽しいはずの田舎暮らしに退屈し、ネズミを発見する度に大声を上げ、若い男に勝手に入れ込んで傷つき、過去の男につけ入る隙を与えて、そして…。彼女が小説の「ボヴァリー夫人」と同じ運命を辿るのか否かというサスペンスは、もはやどうでも良い気分になる。

 オヤジ役のファブリス・ルキーニの目が悪い意味で気色悪いということ以外に目に残るのは、雑種犬二匹の可愛らしさだ。バカな飼い主を気にすることなく、気ままにノルマンディーを楽しんでいるのが良い。ルキーニよ、画面が持ったのだ。ご褒美として美味いパンをご馳走するが良い。





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