涙するまで、生きる

涙するまで、生きる “Loin des hommes”

監督:ダヴィド・オロファン

出演:ヴィゴ・モーテンセン、レダ・カテブ、ジャメル・バレク、
   ヴァンサン・マルタン、ニコラ・ジロー、
   ジャン=ジェローム=エスポジト、ヤン・ゴヴァン

評価:★★★




 ヴィゴ・モーテンセンが小学校で教師をしているという物珍しい光景から始まる『涙するまで、生きる』の舞台は、1954年アルジェリアの山岳地帯だ。当時のアルジェリアはフランスの植民地で、独立の機運が急激に高まっていた。所謂アルジェリア戦争。その最中、モーテンセンは殺人の罪で捕えられたレダ・カテブを護送する任務を負う。

 男ふたりの素っ気ない関係が、次第に熱を帯び始める。そのシンプルな展開は西部劇を思わせる。男同士の絆…なんていう臭くなりそうな題材が、適当な按排で処理されるのは有難い。女を知らない云々の件は少々やり過ぎたか。

 旅の過程、ふたりはアルジェリア人の村人やゲリラ一派、或いはフランス軍と遭遇する。つい最近までフランス政府が公式に認めなかったアルジェリア戦争の形が見えてくるのがミソだ。テロップやナレーションに頼ることなく、その実態を炙り出そうという試み・心意気が悪くない。

 ただ、モーテンセンのキャラクターはもう少し上手く動かせたのではないか。モーテンセンはアルジェリアで生まれ育ったものの、両親はスペイン人であり、それゆえアルジェリア人からはフランス人のように、フランス人からはアルジェリア人のように扱われてきたという設定。このアイデンティティーを、彼の視線で物語を眺めること以上に大胆に話に絡められたら、戦争がもっと多角的に見えたのではないか。

 モーテンセンとカテブの掛け合いはベタベタしない。どちらも口数が多い方ではなく、目と目で会話するタイプ。役者の力量が試される。間の作り方の下手な俳優では無理だ。時折のセリフは、やけに少年ジャンプ的青臭さが見え隠れするものの、ふたりのおかげで随分風通しが良くなっている。

 もちろん撮影は素晴らしい。あたり一面薄茶色。砂と石、土しかない山。けれど、殺風景というのとは違う。大地の厳しさを前面に見せつけつつ、どこか母の大きさを感じさせる表情だ。男ふたりの旅を誰よりも、冷静かつ落ち着いた眼差しを持って眺めている。





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