ぼくのエリ 200歳の少女

ぼくのエリ 200歳の少女 “Låt den rätte komma in”

監督:トーマス・アルフレッドソン

出演:カーレ・ヘーデブラント、リーナ・レアンデション、ペール・ラグナー

評価:★★★★




 最近流行りのヴァンパイア映画である。ただし、三角関係にはならない。狼男も出てこない。人間とヴァンパイアが全面戦争を繰り広げるわけでもない。では何がいちばんのポイントかと言ったら、やっぱりスウェーデン映画であることが大きいと思う。北欧の凍てついた空気が、ヴァンパイアの少女と彼女に恋をした少年を「冷たく」包み込んでいる。

 ヴァンパイアらしく血に塗れた少女のショットがロマンティックだ。ウェイヴのかかった長い黒髪、青い目、大きな鼻、そして幼い身体。演じるレーナ・レアンデションは所謂美少女というのとは違うのだけれど、顔が血で汚れたときの艶かしさにはゾクゾクする。ファッショナブルなようで、決してファッショナブルだけには終わらない、妖しいロマンティシズム。少女の顔が老婆に見えるときがあるのも面白く、子どもには違いないのに、全然甘ったるさがないのがイイ。血を吸うときの、まるで子泣きじじい風のしがみつき方も、妙に味わい深い(少女の父の血の集め方もユーモラスだ)。

 この少女に恋しちゃうわけだ。いかにも北欧的な容姿の少年が。カーレ・ヘーデブラントは真っ白な肌とプラチナブロンドが冷たい空気に見事に映えている。イジメられっ子だった少年が、自我や性に目覚めていく過程が実にリリカル(生々しさが素晴らしい効果)。手に触れるだとか、そっと抱き締めるだとか、唇と唇が重なるだとか、シンプルな中に生の息遣いが浮かび上がる。

 少年少女の描き込みが優れているためだろう、『ぼくのエリ 200歳の少女』は印象に残る場面が多い。モールス信号でのやりとりが何度も出てくるのが効いているし、少年が血の契りを求める場面や少女の正体を確認する場面も鮮烈なイメージ。そして何と言っても、ふたりが一緒のベッドの入り込むシークエンスにはやられる。ここでは少女がヴァンパイアであることはさほど重要ではない。思春期に差し掛かったふたりで、しかも孤独であることが重要で、それゆえのサスペンスと緊張感に息を呑む。

 …と書いていると忘れそうになるけれど、この映画はしっかり「ホラー」である。グロテスクな画も出てくるし、残虐な行為も少なくない。ただ、魅せ方がとても大人っぽいので不快さはほとんどなく、なおかつ身体の芯から冷えてくるような恐怖が溢れている。視覚的なショックを使うと同時に、精神的なところを突いている。

 先にヴァンパイア映画と書いたものの、それよりも初恋をテーマにした映画と言った方が合っている気もする。ラストシーンにはある有名映画を思い出してしまった。





blogram投票ボタン

ブログパーツ

スポンサーサイト



テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

プロフィール

Author:Yoshi
Planet Board(掲示板)

旧FILM PLANET

OSCAR PLANET




since April 4, 2000

バナー
FILM PLANET バナー

人気ページ<月別>
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
最新トラックバック
QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

Friends
福☆こもろ