インサイド・ヘッド

インサイド・ヘッド “Inside Out”

監督:ピート・ドクター

声の出演:エイミー・ポーラー、フィリス・スミス、ルイス・ブラック、
   ミンディ・カリング、ビル・ヘイダー、ケイトリン・ディアス、
   ダイアン・レイン、カイル・マクラクラン、リチャード・カインド、
   ラシダ・ジョーンズ、フランク・オズ

評価:★★★★




 ピクサーはこうでなくては。『インサイド・ヘッド』の主な舞台はサンフランシスコ…に引っ越してきた少女ライリーの頭の中だ。人は五つの感情を心に抱えているという設定で、ヨロコビ(Joy)、カナシミ(Sadness)、ビビリ(Fear)、イカリ(Anger)、ムカムカ(Disgust)がその面子だ。もちろんライリーの頭の中にも彼らはいる。そして、ライリーと同じ人生を目撃・経験し、その感情を爆発させる。

 …と書くと、まるでライリーが感情たちに操縦されているようだけれど、それは大きな間違いで、感情たちはもちろん想像の世界の住人だ。引っ越しをきっかけに精神的に不安定になったライリー、その心模様を想像で展開させた物語というのが、本当のところだろう。一見ライリーが感情たちに振り回されているようなのは、感情がそれぐらい生き生き描かれている証拠だ。

 感情たちの呼吸が愉快なのは、彼らの冒険(とりわけヨロコビとカナシミが大々的に取り上げられる)に感傷に流されない程度の郷愁が感じられるからだ。想像上の友達。いつしか消えていく記憶。脈絡のなく突然頭に浮かぶイメージ。ナンセンスを極める夢。閉じ込められた潜在意識。

 単純にテーマパークに迷い込んだようなその世界で繰り広げられる冒険はつまり、そのまま人間の頭の中、心の中の分析になっている。とりわけ記憶に対するそれが詳しくなされ、人の成長というものにまつわる寂しさと密着する。人が経験を積むのは悪いことではない。身も心も成長するのは喜ばしい。けれど、ふと物哀しくも感じることがある。その気配が、実に上等。

 そうして冒険の先に、カナシミの意義が見えてくる。カナシミは常に途方に暮れている。自分はライリーを哀しませてばかりだからだ。けれど、カナシミにはカナシミにしかできない役割を担っている。それが…最小限の説明でなされる(最小限の説明しかなされないとも言える。もちろんその節度こそが良い)のが、さすがピクサー、さすがピート・ドクターだ。大体、カナシミを追究する大胆な姿勢からして、好もしい。

 絵の美しさは他の3Dアニメーションの追随を許さない。感情たちはイメージカラーがあるし、想像の世界はさらに様々な色が溢れる。それなのに決して煩い画にはならない。感情たちはまるでフェルトで作られたような柔らかさを感じさせ、アクションがついても雑な処理はまるで見られない。感情の世界と対をなす、人間社会の落ち着いた色合いも品が良い。幼い魂なら、感情たちの忙しない動きを眺めるだけでも気分が高揚するだろう。

 ライリーは情緒不安定になる。感情たちにとってこれは一大事だ。しかし、この世に生を受けた者の中で、ライリーが特別なわけではない。あくまでライリーは一例だ。つまり人は誰しもが内に秘めた感情と上手に付き合っている。そして、そうして生きることは尊いことだ。それが伝わる映画だ。優しい眼差しで、かと言って厳しさを忘れることはなく、生きていくことを謳った映画と言えるかもしれない。





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