悪党に粛清を

悪党に粛清を “The Salvation”

監督:クリスチャン・レヴリング

出演:マッツ・ミケルセン、エヴァ・グリーン、ジェフリー・ディーン・モーガン、
   エリック・カントナ、ミカエル・パーシュブラント、
   ダグラス・ヘンシュオール、マイケル・レイモンド=ジェームズ、
   ナナ・オーランド・ファブリシャス、ジョナサン・プライス

評価:★★★★




 妻子を殺された男の復讐劇を軸に置いた物語は西部劇の定番と言えるものの、男が北欧デンマークからやってきたという設定は珍しいのではないか。舞台は1870年のアメリカ。『悪党に粛清を』は北欧の気配を風に取り入れる。

 主人公に扮するのはマッツ・ミケルセンだ。セリフが極端に少ない寡黙な役柄を、涼やかな北欧の風を身体の芯に通して演じる。彼は表情を変えない。息子や妻の亡骸を見ても泣き叫ばない。けれど、哀しみと遺される苦しみはその血に溶け、激しくも切ないうねりを作り出す。

 男は本当に人なのだろうか。神話の世界に住む生き物が、人の姿に見せているだけではないか。そう思ってしまうのは、月夜の場面が酷く幻想的だからだ。月明かりの主張が強く、夜は黒いと言うより灰色、いや、灰色と言うより銀色に見える。目に焼きつく世界だ。音の一音一音がくっきり立体的に聞こえる。

 人が次々死んでいく話ながら、陰惨なだけではない。復讐という西部劇の世界にやたら映える要素を味方につけていることもあろうけれど、殺し方にも工夫が見られることが大きい。主人公の静けさが活かされた戦法やゲリラ的急襲。額を撃ち抜けばそこには梅干より大きな穴が通る。大袈裟な演出を貫く美学が揺るがない。

 開拓時代に生きる人々の見せ方も面白い。悪の根源がジェフリー・ディーン・モーガン(もう少し風格が欲しい)なのは間違いない。しかし、観客はそれ以上に町の人間たちの、強い者につく、或いは傍観を決め込む卑怯な態度にフラストレーションを覚えるはずだ。復讐という今の時代では通用しない価値観と絡まり、世界観に奥行きをもたらしている。ミケルセンの「偽りなき者」(12年)を思い出すのは強引か。

 実のところ、演出の巧みさはエヴァ・グリーンだけ見ても明らかだ。先住民に舌を抜かれたという背景にも身を乗り出すものの、善か悪か判断し辛いところに置くことで、グリーンの妖気を最大限活かす。ここでのグリーンは完全に登場人物のひとりだ。出る作品出る作品、片っ端から共演者を食ってしまうのとはそこが違う。共演者食いのグリーンはもちろん愉快だ。けれど、作品における役者の在り方としてはこれこそが正解だろう。ミケルセンとグリーンの行く末が気になって仕方ない。





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