ターナー、光に愛を求めて

ターナー、光に愛を求めて “Mr. Turner”

監督:マイク・リー

出演:ティモシー・スポール、ドロシー・アトキンソン、マリオン・ベイリー、
   ポール・ジェッソン、レスリー・マンヴィル、マーティン・サヴェッジ、
   ルース・シーン、ジョシュア・マクガイア、ピーター・ワイト

評価:★★★




 マイク・リーがロマン主義の英国画家ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナーを描く『ターナー、光に愛を求めて』のいちばんの功績は、映像の美しさだろう。ターナーは「太陽は神だ」と言い放つ人物で、もちろん彼が手掛ける絵画には光の幻想性が見て取れる。黄色とオレンジの中間あたりの色彩が穏やかに入り込む。画面作りにおいて、リーは明らかにそれを意識している。

 画面をカンヴァスに見立てる手法はさほど珍しくない。けれど、そこに入り込む人物の躍動までもを捉える画面はあまりないのではないか。美しいだけではない絵画的画面が光を伴い、立体性を帯びて見える。これを3Dに通じる撮り方だと見るのは強引か。

 他にも芸術と科学が絡まるエピソードは少なくない。色の配合やら、カメラの登場やら、今現在は当たり前のものとして存在する、視覚を刺激する芸術の息吹が彼方此方で感じられる。一見水と油の関係にある分野の衝突に見入る。

 ターナーを演じるティモシー・スポールの呻り声が頭にこびりつく。映画で呻ると言うと、どうしてもクリント・イーストウッドを思い出すものの、もちろんスポールにイーストウッドのスマートさはない。彼は類稀なる絵の才能を持ち、旅先では名を変えるなど芸術家特有(?)の風変わりなところを具えながら、市井の人の匂いを失わない。

 ただし、単純ではない。哀しいときに泣き、嬉しいときに笑う…などという分かりやすさはない。だからこそ多彩なニュアンスを体現できるスポールでならなければならなかった。ターナーが醸し出す、生活臭と密着した空気の静かなグラデーションが沁みる。リー映画の常連スポールが、生涯最大の当たり役を掴んだことは間違いない。

 ターナーは女性関係に関してはだらしないところ(或いは冷徹なところと言い換えることも可能)があったかもしれない。大きく分けて三人の女性が彼と関わりを持つ。この三人に対する態度の描写にリーの節度が見える。決してぎゃんぎゃん煩く拗らせることなく、冷静な視線を保つ。それでこそターナーの人間臭さが鮮明になるというものだ。思わず息を呑む美を湛えたオープニングショットを撮るリーはもちろん、人間の達人でもあるということだろう。





ブログパーツ

blogram投票ボタン

スポンサーサイト

テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

プロフィール

Author:Yoshi
Planet Board(掲示板)

旧FILM PLANET

OSCAR PLANET




since April 4, 2000

バナー
FILM PLANET バナー

blogram投票ボタン
blogram投票ボタン
人気ページ<月別>
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
最新トラックバック
QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

Friends
福☆こもろ