グローリー 明日への行進

グローリー 明日への行進 “Selma”

監督:エヴァ・デュヴルネ

出演:デヴィッド・オイェロウォ、トム・ウィルキンソン、カルメン・イジョゴ、
   キューバ・グッディング・ジュニア、ロレイン・トゥーサント、
   ティム・ロス、オプラ・ウィンフリー、テッサ・トンプソン、
   ジョヴァンニ・リビージ、オマー・J・ドージー、ヘンリー・G・サンダース、
   アンドレ・ホランド、アレッサンドロ・ニヴォラ、ステファン・ジェームズ、
   キース・スタンフィールド、コモン、ディラン・ベイカー

評価:★★




 コモンとジョン・レジェンドによる「Glory」が力強い。余計な音を削ぎ落としたサウンドに被さる、強い意志を感じさせる言葉。それを響かせる歌声。黒人が無慈悲に受けてきた悪辣な行為と、それを乗り越えてきた歴史がたっぷりの熱量と共に迫り来る。人間の大きさのような何かに包まれた楽曲だ。

 「Glory」が流れる前、すなわち『グローリー 明日への行進』のクライマックスはセルマ大行進が描かれる。フィクション映像とそれに挟まれる資料映像。アラバマ州セルマから州都モンゴメリーまで5日間かけて行われた80キロの大行進。そこには人の姿が多々あれど、何と言うか、その肉体の中に潜む魂が透けて見える。それはその瞬間まで差別を受けてきた、いやその先にも差別を受けるだろう、命の重みを湛えている。

 エヴァ・デュヴルネはこの物語を敢えて、盛り上げない。泣かせにかかればいくらできる、胸の痛む題材を感情に訴え過ぎることなく、冷静に語る。好もしい。差別が悪いという当たり前の事実に寄り掛かり、涙を搾り取るなど、破廉恥甚だしい行為だ。例えば「血の日曜日事件」も実に静かな演出が選ばれる。

 デュヴルネはマーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師の物語とは捉えていない。セルマ大行進に関わった人々の姿を通して歴史の分岐点を見つめることに専念している。白人と黒人が激しい対立を見せる。白人同士で意見が割れる。黒人同士でも意見が割れる。その中には心からの叫びもあれば、したたかさがちらつきもする。あからさまな差別主義も見える。それら全てが行進に引き寄せられるように衝突する。その意味を問い掛ける。

 肝心要のキング牧師はその中のひとりに過ぎない。最重要人物であることは間違いない。公民権運動を牽引、彼がいなければ行進の成功はなかったかもしれない。デュヴルネはそれを認めてはいるものの、その人物像を明確にすることには失敗する。強い信念を持ち人々を率いる非暴力主義の偉人以上の姿は見えない。何が彼をそこまで強くするのか、決して暴力に走らせなかった理由は何か、他の黒人と彼は何が違ったのか、謎は謎のままに終わる。代わりに家庭を犠牲にして運動に身を捧げたというお決まりのエピソードが語られる。

 キング牧師を支持するかしないかで対立する若い黒人がふたり出てくる。個人的に彼らをもっと見たかった。分かりやすく「偉人」のキング牧師よりも、よっぽど人間臭い感情の流れを見せてくれそうではないか。彼らも最後にはひとつになる。そこまでの流れ、それはきっとセルマ大行進に繋がる時代のうねりを象徴するものになるのではないか。





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