靴職人と魔法のミシン

靴職人と魔法のミシン “The Cobbler”

監督:トーマス・マッカーシー

出演:アダム・サンドラー、スティーヴ・ブシェーミ、
   ダスティン・ホフマン、メロニー・ディアス、ダン・スティーヴンス、
   クリフ・“メソッド・マン”・スミス、エレン・バーキン

評価:★★★




 靴修繕用のそのミシンは、今では珍しいだろう、足でペダルを踏んで動かすタイプのそれだ。そしてそれによって直された靴を履くとあら不思議、靴の持ち主の容姿へと変身する。四次元ポケットから出てきたかもしれないそのミシンを使うのはしかし、のび太ではない。ドラえもんもいない。アダム・サンドラーだ。ふむ、言われてみればサンドラー的設定だ。

 けれどだからと言って、『靴職人と魔法のミシン』を低俗(ある意味褒め言葉)サンドラー映画の一本としてひとまとめにするのは違うだろう。低予算らしく派手さがないし、何より監督のトーマス・マッカーシーはサンドラー映画として物語を語らない。マッカーシーは現代のお伽噺として、ベッドで横になる子どもに親が絵本を読み聞かせるようなリズムを大切にする。

 だからここにはスター、サンドラーの姿はほとんど見えない。マッカーシーが注目するのは、幼稚に走らなければ良い俳優であるサンドラーの温か味だ。そしてそれを父と母、そして息子のドラマと絡める。やや感傷が気になるところはあるものの、押しつけがましさのない適温の演技ができるサンドラーが恍けた愛嬌を振り撒く。まあ、次から次へと靴を履き替えて悪戯する件が、それこそのび太じゃないか!という点には目を瞑ろう。

 それよりも暴力や血の匂いが漂うのに感心しない。現代はそれと切り離せないということかもしれないと察しつつ、お伽噺の中では完全に浮き上がるのが気になる。どう語ったところで犯罪は犯罪というつまらない正論が、物語のスピードを殺す。血という液体は粘着性があり、足をもたつかせるのだ。

 サンドラーは靴を履いている間は他人の容姿なのが(ファンには物足りないか)適当な目立ち具合だ。ただ、それ以上に目に留まるのはサンドラーの靴屋の隣で理髪店を営むオヤジを演じるスティーヴ・ブシェーミだ。歳を食って大分脂肪がついたように見えるものの、都会が似合うあの持ち味は健在だ。サンドラーとの掛け合いも愉快。相変わらず映画のアクセントとして最適だ。

 そしてブシェーミがいる街といったニューヨークということになる。ここではニューヨークの古風な一面が切り取られる。再開発の候補に挙げられるように寂れ草臥れても、ニューヨークは、あぁ、やはり絵になる。ちょっと探せば気の利いたカフェがありそうで、休日暇なときには出かけたくなる、そういう匂いが画面に漂う。なるほどこの街ならば魔法がかかってもおかしくない。





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