しあわせはどこにある

しあわせはどこにある “Hector and the Search for Happiness”

監督:ピーター・チェルソム

出演:サイモン・ペッグ、ロザムンド・パイク、トニ・コレット、
   ステラン・スカルスガルド、ジャン・レノ、ヴェロニカ・フェレ、
   バリー・アトスマ、クリストファー・プラマー

評価:★★




 自分探しや幸せ探しほど人を苛立たせるものはない。その人の人生、何をしようが勝手だけれど、人様に見せる価値のあるものになることは稀だ。七転八倒を繰り返し、すぐ傍らにある何かに意味を見出すのがせいぜいではないか。『しあわせはどこにある』でも、あぁ、主人公の辿り着く先にあるものに「歓び」を見つけられるほど、新しい見方は出てこない。

 しかもこの主人公、わざわざ精神科医に設定されている。他人の悩みを聞く内、幸せが何だか分からなくなってしまったんだとサ。それゆえの、世界一人旅。行く先々で彼は人に尋ねる。あなたにとって幸せとは?ここまで分かりやすくガイドしないといけないとは、もはや開いた口が塞がらない。ピーター・チェルソム、これ、本気でやっているの?

 …と苛々を刺激されたものの、チェルソムの立ち位置が見えてきてから、ちょっとそれが和らいだ。どうやらチェルソム、自身も自分探しや幸せ探しなんてくだらないと思っているフシがある。自分の中で完結させるべきものだと冷めて見ているように思われる。その上で主人公を転がし、そして笑い飛ばしている。それでもくだらないことには変わりないとため息をつきつつ、幾分すっきりはする。

 チェルソムは自己満足にしか映らない危険を秘めた旅を軽やかに描写する。「タンタンの冒険」に絡めた想像の自分。妄想力の乱れる画。記録ノートに描かれる絵。動き出すイラスト。「観光映画」にはならない風景。作り手が登場人物から一定の距離を置いていることが分かる。

 それに主人公を演じるのはサイモン・ペッグだ。英国コメディ界の中心に立つ!…と言っては大袈裟になるペッグの一般人的感覚が役柄の陶酔色を薄める。パブで仲間と酔っ払いながらサッカー観戦しているような親密さを、臭わない程度に放出する。間違いのない面白顔により、決して飽きさせないのも良い。美女ロザムンド・パイクとも相変わらずのグッド・ケミストリー。

 次々出てくる性格スターの中ではクリストファー・プラマーが目を引く。プラマーが演じるのはベストセラーを出している心理学の権威。ヘンテコな装置を用いて脳の動きを観察、対象の感情を探る。この画がなかなか面白く、役柄をもっと描き込んでアプローチを変えたなら、「マルコヴィッチの穴」(99年)的な世界が広がりそうな気配がある。ペッグの個性も愉快に作用しそうではないか。自己啓発本好きの人向けでしかない映画の中にも「可能性」は潜んでいる。





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