ウォント・バック・ダウン ママたちの学校戦争

ウォント・バック・ダウン ママたちの学校戦争 “Won't Back Down”

監督:ダニエル・バーンズ

出演:マギー・ギレンホール、ヴィオラ・デイヴィス、ホリー・ハンター、
   オスカー・アイザック、マリアンヌ・ジャン=バプティスト、
   ロージー・ペレス、エミリー・アリン・リンド、
   ランス・レディック、ヴィング・ライムス、ビル・ナン、
   ネッド・アイゼンバーグ、ライザ・コロン・ザヤス

評価:★★




 テーマは教育改革問題だ。「ウォーク・ザ・ライン 君につづく道」(05年)のポスターが飾られていたから、おそらくその当時の実話を下敷きにしている。アメリカの公立学校は質がよろしくないようで、教師の悪待遇は度々映画に出てくる。冒頭の無気力教師は何かのジョークか。いや、おそらくこういう教師もごろごろいるに違いない。子どもの未来を案じて行動を起こす親がいても、なるほどおかしくない。モンスターペアレンツなんかとは違うのだ。

 …というわけで『ウォント・バック・ダウン ママたちの学校戦争』は真面目な映画だ。公立学校の現実を糾弾し、それを根本から変えようという運動を見守る。マギー・ギレンホール演じる無学な母親やヴィオラ・デイヴィス演じる無力さに打ちのめされる教師が掲げる理想、それはそれは尊いものだ。学歴が全てではない。けれど、卒業していく子どもの内、7割が字が読めないだなんて、あって良いわけがない。

 作り手の視線がそれに気づいた者たちの「努力」に向けられるところに違和感がある。この映画が提示するカタルシスは、信念を持った小さな者が権力を振り回す大きな者に立ち向かうところにあり、それを妙に強調した作りだ。彼らは博識ではない。社会的立場は弱い。けれど、彼らには心がある。知恵がある。逆境を乗り越える力がある。その持ち上げ方が気恥ずかしい。違和感の正体が、主人公を美化するだけの伝記映画に通じていく。

 理想に寄り掛かりが過ぎると言い換えることもできるか。問題はあります。でもこれからは全力で頑張ります。その姿勢は大切でも、学校崩壊の理由を単純化し、解決の糸口を見つけることで満足している気配はどうか。本当に大変なのは改革が始まってからだろう。変に美化はしなくても良いのではないかと冷静な気分を誘う。

 むしろ面白いのは登場人物の人間臭いところだ。例えばオスカー・アイザックがギレンホールに「子どもは正直だけど、女性はそうはいかない」と口説く件。或いはギレンホールが娘から「貧乏なバカ」という哀しい言葉を投げ掛けられる件。また或いはデイヴィスがベッドで横になる息子に自分の思いを語り掛ける件。教育改革の提案書が通る通らないのサスペンスよりも細部に惹かれる。

 そしてこれはもう、役者の力なのだろう。ギレンホールはいつになく綺麗に撮られていて、かつセクシー。安定の巧さを見せるデイヴィスは、眼差しに宿る意思の力が尋常ではない。他にも女優たちが実力をひけらかすことなく、役柄に溶け込んでいる。

 …とそう、実はこの映画、男優の影が薄い。アイザック以外、まるで印象に残らない。おそらく意識的にそういう演出が採られている。教育問題は「男 vs. 女」の場だと勘違いしそうだ。この構図がきっち出来上がっているため、根本問題が別のところにあるのではないかと勘繰りたくなる。これは褒められた誘導でないのではないか。





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