ハイネケン誘拐の代償

ハイネケン誘拐の代償 “Kidnapping Mr. Heineken”

監督:ダニエル・アルフレッドソン

出演:ジム・スタージェス、サム・ワーシントン、ライアン・クワンテン、
   アンソニー・ホプキンス、マーク・ファン・エーウェン、
   トーマス・コックレル、ジェマイマ・ウエスト

評価:★★




 オランダの大ビール会社ハイネケンの創業者が誘拐・監禁されるも、自由を奪われたままにふてぶてしい態度を崩さない。この役をアンソニー・ホプキンスが演じると、ハンニバル・レクター博士のパロディに見える危険があることを作り手は気づいているのか否か。普通では考えられないけれど、気づいていないというのが真相ではないか。『ハイネケン誘拐の代償』は創り込みの浅い犯罪劇だ。

 レクター云々を忘れるとしても、ホプキンスが扮するフレディ・ハイネケンのキャラクターが弱い。確かに人質とは思えない余裕があるし、どう転んでも死にそうにないのだけど、予想を覆すほどにデンジャラスな匂いは感じさせない。仕事を成功に導き、巨額の富を手にし、そして思うがままに生きてきただろう男の淋しさも感じさせない。ただ、そこにホプキンスがいる。それだけの機能しか果たさない。

 それでも出足は快調だった。仲の良い五人の男たちが銀行から融資を断られたことをきっかけに誘拐を思いつく。間違いなくあんぽんたんではあるものの、テンポの良い演出と若手俳優(いや、中年俳優と呼ぶのが正しいのか?)のアンサンブルにより、前のめりに魅せていく。

 それぞれのキャラクターの描き分けは不発気味だけれど、五人が勢い勝負とばかりに突き進む様、そこには小悪党のアホさ加減が愛敬と密着するという化学反応が見える。憎めないのだ。とりわけジム・スタージェスとサム・ワーシントンが演じる義兄弟コンビ。イメージとしてはワーシントンの方がリーダーに合いそうなのにスタージェスがチームをまとめ、ワーシントンが脇を締める。どちらも与えられた役の小物感を楽しんでいるのが良い。

 ところが、前半愛らしかった小物感が物語が進むに連れて褪せ始める。ホプキンスは見せ場を作ることなく救出され、仲間たちは一人また一人と捕えられる。この際、特に苛立ちを誘うのがスタージェスだ。

 スタージェスはこの期に及んで誘拐を後悔し、そればかりか身重の妻を四六時中案じる自分をアピールし始めるのだ。まるで覚悟を決めてなどいなかったように、アマちゃんの自分に気づき、ガキのようにむせび泣く。ワーシントンに頭を撃ち抜かれるが良いと呆れる観客は多いだろう。

 ホプキンス曰く、金持ちには二通りあるのだという。それを見せるところにポイントを置きたいのだろう。くだらない。幼稚さを言い訳に孤独を描いてもバカにしか見えないというものだ。エンドロール前に明かされる、各人物のその後の人生の方が(そう、これは実話だ)、興味を惹かれるとはこれいかに。





ブログパーツ

blogram投票ボタン

スポンサーサイト

テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

プロフィール

Author:Yoshi
Planet Board(掲示板)

旧FILM PLANET

OSCAR PLANET




since April 4, 2000

バナー
FILM PLANET バナー

blogram投票ボタン
blogram投票ボタン
人気ページ<月別>
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
最新トラックバック
QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

Friends
福☆こもろ