トゥモローランド

トゥモローランド “Tomorrowland”

監督:ブラッド・バード

出演:ジョージ・クルーニー、ブリット・ロバートソン、ラフィー・キャシディ、
   ヒュー・ローリー、トーマス・ロビンソン、ティム・マッグロウ、
   キャスリーン・ハーン、キーガン=マイケル・キー

評価:★




 核戦争が勃発し、焚書により思想は管理される。疫病が蔓延し、緑は消滅、大地は砂漠と化す。かと思えば、突然氷河期が訪れる。ロボットが街に溢れ、コンピュータは暴走を繰り返す。猿が支配し、ゾンビが闊歩。いつの間にか殺しはエンターテイメントだ。宇宙に助けを求めるも、パラレルワールドに迷い込んで、俺はどこにいる?!…というわけで、映画人が思い描く未来は、何時でも何処でも暗い。暗過ぎる。

 それに反発したのがディズニーだ。『トゥモローランド』はウォルト・ディズニーが温めていたという未来都市構想をベースにしたのだという。もちろんその街も危機に直面する。錆びついた姿も見せる。けれど、基本はやはり夢の世界だ。未来は明るい。希望はある。信じることが大切だ。さあ皆、手を取り合おう。ふむ、これならばドラえもんがいても違和感がなさそうだ。

 暗い未来ばかり見せられるのに飽き飽きしていると言ってもしかし、やはりこの手の翳りのない夢の未来、夢の世界はある程度の世間の厳しさを知る大人の心にはフックするところは少ないらしい。冒険の細部に夢の世界から借りてきたガジェットを中心に不思議なアイテムやルールが溢れるも、「夢だからそれで良い」の姿勢だけで走られても二次元の漫画の世界以上のものを感じさせない。例えばエッフェル塔がある重要な役割を果たす場面。これに喝采を贈ることができるのは、子どもか、全く汚れのない心の持ち主でないと難しいのではないか。

 そもそも案外頭でっかちな物語だ。どういう経緯でトゥモローランドが出来上がったのか。そこに行くにはどうしたら良いのか。地球の危機を救うにはどうするべきか。想像力を謳い上げるのに言葉による説明に頼り過ぎだ。とりわけクライマックスは一見派手なアクションが繰り広げられているように見えて、重要な部分は凡人には良く分からない理屈で押し切られる。

 夢の世界に入り込めないのは演出のもたつきも大きい。ブラッド・バード、一体どうしたんだ。物語が本格的に動き出すまでに1時間近くかかるし、毒の入れ方が平凡を極める(唯一、最後に使われる爆発物にギョッとする)。アクションはお子様仕様にまとめられ、キャラクターも行儀良いだけ。とりわけ空間の広がりを感じさせない画の羅列はバード映画では信じ難い。トゥモローランドというこれ以上ない面白い舞台があるのに、非対称的で曲線の美しさが目に残る建造物が立ち並ぶ街並みを活かした画が皆無という衝撃。

 ヒロイン、ブリット・ロバートソンの分かり辛い魅力以上に辛いのは、ジョージ・クルーニーのミスキャストだ。「大人の男」を売りにしているクルーニー、予想以上にディズニーの世界観と相性が悪い。髭剃り跡が青く、疲れが滲み、温度を数度上げそうに濃い顔が出てくる度、大きな違和感を感じる(もちろんこれは本来クルーニーの大きな武器だ)。クルーニーだけ3Dになっているような浮き具合。いや、冗談じゃなく。クルーニーと甘い世界は水と油でしかないようだ。





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