マイ・ライフ・メモリー

マイ・ライフ・メモリー “Sunlight Jr.”

監督:ローリー・コルヤー

出演:ナオミ・ワッツ、マット・ディロン、ノーマン・リーダス、
   テス・ハーパー、アントニー・コローネ

評価:★★




 こんなことを言うと失礼になるのかもしれないけれど、ナオミ・ワッツとマット・ディロンは貧乏が似合う。どちらも容姿に恵まれ、高級ブランド服に身を包めば、スタイリッシュに着こなす。けれど、どれだけ着飾っても幸薄い匂いが漂う。どちらもまとう空気に生活感がたっぷりあり、どういうわけだかそれが貧乏と密着しやすいらしい。

 そんなわけで『マイ・ライフ・メモリー』でカップルを演じるふたりが、貧乏を極めた生活をしているというのはあまりにも似合っている。ディロンは半身不随の車椅子生活。国から支援金を貰ってもすぐさま酒代に消える。ワッツはパワハラ上司がいるコンビニで働くも、生活は楽にならない。モーテルで暮らし、ガソリン代に困り、さりとてそこから抜け出す術もない。

 この生々しい生活感は何なのだ。ワッツとディロンが愛し合っていることは疑いようがないのに、貧乏がもたらす現実がふたりの関係に亀裂をもたらす。希望は見えるだろうか。そう思ったときに明らかになるのがワッツの妊娠で、なるほどふたりが笑顔を見せる。そうだ。希望は大切だ。そう感じ入ったところで、しかし…。

 しかし、そんな幸せの絶頂でもおかしくないというとき、諍いが起こる。ディロンが激怒する理由が、ワッツが勝手に病院で診察を受けたため、というのがシヴィアだ。ディロン曰く「医者はぼったくり」だ。けれど、ワッツは妊娠中で、トイレで出血したのだ。体調の異変を感じたのだ。それを承知でディロンはワッツを責める。貧乏は時に心の豊かさを奪う、その身も蓋もない現実が憂鬱だ。

 目に留めるべきは、ディロンもワッツも善人という点だろう。困ったところはあっても、思いやりの心は持っている。ノーマン・リーダス演じるDV男とはそこが違う。それなのに貧乏が、幸せを許さない。その負のループがじっくり描かれている。ただ、おかげで暗い物語だ。気分を落ち込ませる。作り手はそれでもこの現実を語る価値はあると信じている。

 …とそこで突入するのが終幕、ワッツがある決断を下す件だ。これは…いくら何でもあまりに無慈悲ではないか。安い希望が似合うふたりではないのは確かだけれど、何も取り返しのつかないところにまで追い込まなくても良いのではないか。アキ・カウリスマキ監督作「浮き雲」(96年)を、ふと思い出す。あのラストシーンの僅か数分の一で良いから、幸福感があって欲しかった。甘いだろうか。





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