ジェームス・ブラウン 最高の魂を持つ男

ジェームス・ブラウン 最高の魂を持つ男 “Get on Up”

監督:テイト・テイラー

出演:チャドウィック・ボウズマン、ネルサン・エリス、
   ヴィオラ・デイヴィス、オクタヴィア・スペンサー、ダン・エイクロイド、
   レニー・ジェームズ、フレッド・メラメッド、クレイグ・ロビンソン、
   ジル・スコット、ジョシュ・ホプキンス

評価:★★★




 2014年末から2015年春にかけてラジオで鳴りっぱなしだったマーク・ロンソンの「Uptown Funk」を聴く度に感じるのは、全盛期のマイケル・ジャクソンと、そしてジェームス・ブラウンの鼓動だ。ゲストヴォーカルとして参加しているのはブルーノ・マーズで、つまり「JB→MJ→BM」という音楽界に生きる類稀なる才能の完璧な流れを封じ込めた楽曲だったわけだ。ファンキーを極めた強力なアップビートの正体を見る。

 それほどまでに偉大なJBに関するキーワードはたっぷりあり、やはり外せないのは「soul」だろう。それは彼のパフォーマンスに鮮明に表れる。テイト・テイラーはそれを承知し、何度もステージ場面を挿入する。キング牧師殺害翌日に開かれるボストン公演。一流ミュージシャンの証であるアポロシアター公演。映画のクライマックスを飾るJBキャリアの後期公演。ターニングポイントにはいつもライヴがあり、否応なしに盛り上がる。

 JBを演じるのはチャドウィック・ボウズマン。さほど似ているとは思えないボウズマンはしかし、ステージではJBの魂が乗り移ったとしか思えないアクションを見せる。普段のときの発声法からしてかなり作り込んでいるものの、最も研究を尽くしたのはステージパフォーマンスだろう。腰つきが、足捌きが、表情変化が、JBが「soul」と呼ぶものを雄弁に語る。ボウズマンの快心の演技がキマる。

 けれど、「soul」には影が付きまとうのが常だ。真理でもある。それは幼きの日の記憶が関係しているのか。貧しさに苦しみ母に捨てられた過去がJBに絡みつく。そして得体の知れない何かがじわじわとJBの身体を蝕む。それは傲慢さであり、利己的な態度であり、暴力に顕著だ。これは演出の賭けだ。観客がJBに一斉に引いてもおかしくない。

 実際、こんなJBの一面は見たくなかったという思う場面は少なくない。けれど、テイラーはそれでもそれを見せることに賭ける。「soul」ではなく「sole」もまた、JBを語る上で外せない要素だと判断したのだろう。唯一無二のJBだから困ったところも許せる…ではなく、唯一無二のJBもまた弱さからは逃れられないと解釈する。

 物語はボビー・バードとの関係性がJBの人生に大きな意味をもたらしたことを語る。バードがJBを大地の父のように見守る眼差しが、JBのパフォーマンスと共に胸に残る。歳を重ねる度に「オレサマ」な側面を強くするJBをバードが忍耐強く包み込む。ネルサン・エリスが充実の演技だ。『ジェームス・ブラウン 最高の魂を持つ男』は「soul」と「sole」と共に生きた男と一緒に歩むことを決めた、誠実で勇敢な魂を持つ男の物語でもある。綺麗にまとまり過ぎだと意地悪く思いつつ、涙腺を刺激される。





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