トップ・ファイブ

トップ・ファイブ “Top Five”

監督・出演:クリス・ロック

出演:ロザリオ・ドーソン、ガブリエル・ユニオン、アンダーズ・ホーム、
   J・B・スムーヴ、ロマニー・マルコ、ヘイリー・マリー・ノーマン、
   ルイス・ガスマン、ケヴィン・ハート、タラジ・P・ヘンソン、DMX、
   ガボーレイ・シディベ、ウーピー・ゴールドバーグ、アダム・サンドラー

評価:★★★




 クリス・ロックが自ら監督も手掛ける『トップ・ファイブ』で演じるのはコメディ俳優だ。己を笑い飛ばすパロディ映画なのだろうかと単純に思う。実際、映画業界を笑い飛ばすギャグは多い。いきなり「アクターズ・スタジオ・インタビュー」のパロディから始まるし、その後も映画業界ネタが次々登場。映画ファンはそれだけで脇腹をくすぐられる。しかもこの映画、さらに捻りを加えてくるから侮れない。

 ロック演じる主人公は人気スタンダップコメディアンだ。しかし、今日封切られる新作映画はシリアスな内容。演技力を認められたいと、ドラマティックな方向にキャリアをシフトさせようとしているのだ。その一方で間もなく結婚する相手はリアリティスターで、そこに愛情があるのかどうかは不透明だ。業界の裏側を覗きながら、風刺と皮肉の爆弾を次々投下する。

 そして、そういう映画業界で生きるしかない者たちへの深い愛情を感じさせるのが、思いがけず繊細で胸に沁みる。冗談のように簡単に始まり終わるキャリア。私生活の切り売り。自分だけの力ではどうにもならない観客動員。軽く見られがちな喜劇俳優への世間の目。自己中心的なファン心理。ロックは理不尽にすら見える業界に生きる者たちにエールを贈る。それもさり気なく、もしかしたら気づかれないかもしれないくらいの節度で。シリアス映画に進出した本当の理由。人に見られることを何より大切にする婚約者の本音。ジャーナリストが作り出す偽りの自分。人の弱さをロックは承知している。

 演出タッチにはリチャード・リンクレイター監督作「ビフォア」シリーズの匂いがあるか。それともその主演女優であるジュリー・デルピー監督作の匂いと言う方が正確だろうか。ロックはデルピーと「ニューヨーク、恋人たちの2日間」(12年)で共演している。ピンポン玉のごとく会話が弾み続ける快感や都会の空気と景色の溶けたところに浮かぶ可笑しさと寂しさ等、似たところが多い。主人公と女ジャーナリストの密着取材に「ローマの休日」(53年)の気配が感じられるのは偶然か。

 ロックはジャーナリスト役のロザリオ・ドーソンを輝かせることにも成功する。大きな演技的な見せ場があるというわけではないものの、その「イイオンナ」ぶりはドーソン史上最高と言って良いのではないか。ロックのマシンガントークに余裕を持ってついていくところから始まり、左だけを刈り上げた独創的なヘアスタイルに負けない、独立心ある者独特の煌めきを発散しているのに注目だ。

 もちろん毒の効いた笑いも豊富だ。ロックの場合、笑いの乾き具合が丁度良い。湿り気がほとんどないのでたとえ滑っても後に引くことがないし、下ネタでも不快感はほとんどゼロに抑えられる。例えばチリソースとタンポンが絡んだある場面は捧腹絶倒。でもそれが後の物語に引きずられることがないのだ。





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