リピーテッド

リピーテッド “Before I Go to Sleep”

監督:ローワン・ジョフィ

出演:ニコール・キッドマン、コリン・ファース、マーク・ストロング、
   アンヌ=マリー・ダフ、ベン・クロンプトン、アダム・レヴィ

評価:★★




 ニコール・キッドマンが演じる四十路の女は記憶障害がある。交通事故が原因で、一晩寝ると前日までの記憶を全て失ってしまう。これは「50回目のファースト・キス」(04年)のドリュー・バリモアと全く同じ設定だ。あちらはコメディだったけれど、こちらはスリラー。まあ、現実的に考えて、この状態になったら恐怖の方が断然多いだろう。だがしかし、『リピーテッド』が提示するものを恐怖と密着したサスペンスと呼んで良いのか。

 序盤はキッドマンの日常がスケッチされる。理解ある夫に与えられた情報を基に、キッドマンは失われた記憶の謎を解き明かす。その度に多くない登場人物の表情が変わる。当然観る側はキッドマンと一緒に、それを整理しなければならない。不穏な音楽が流れるものの、ここにあるのはサスペンスではなく、混乱、或いは困惑だ。

 あれこれ考えを巡らせることは避けられない。夫はコリン・ファースだし、精神科医はマーク・ストロングだ。友人はアンヌ=マリー・ダフが演じる。曲者勢揃い。彼らが見た通りのまま終わるわけがない。いや、実はキッドマンこそいちばんのワルである可能性だって十分ある。演出は彼らに頼る。裏があるようにしか見えない彼らの佇まいで画面を持たせる。お調子こいて、チープなミスリードも頻繁に出てくる。

 そう、キッドマンが時折フラッシュバックに襲われる件が、作品を象徴する。一定間隔で新しい情報が落とされる。これは物語の停滞を防ぐためだ。そして手軽な情報提供により霧を深くするためだ。フラッシュバックの代わりに、夢から真実を手繰り寄せるパターンもある。何が本当で何が嘘なのか。見る側を彼方此方引っ張り回して喜んでいる作り手の幼い顔が見える。

 しかしいちばんの問題は、恐怖に慄くキッドマンが綺麗に撮られていないことかもしれない。アルフレッド・ヒッチコック映画のヒロインたちを見れば分かるように、美女と恐怖は相性が良いものなのに、何故。時折リンダ・ハミルトンに見えるときがあって目を疑った。冒頭のバックヌードは無駄脱ぎと呼ぶに相応しい。スタント臭いけれど。

 なお、エピローグは完全にメロドラマの世界だ。「火曜サスペンス劇場」風の事件の真相に被さる、あからさまに泣きを意識したエピソード。画面では登場人物が涙を浮かべている。けれど、ちょっと待て。本当にこれはそんな美談なのか。謝罪の言葉だけで解決できる問題じゃないだろう。何ともまあおめでたいけれど、まあ、内容に見合った締めとも言える。





ブログパーツ

blogram投票ボタン

スポンサーサイト

テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

プロフィール

Author:Yoshi
Planet Board(掲示板)

旧FILM PLANET

OSCAR PLANET




since April 4, 2000

バナー
FILM PLANET バナー

blogram投票ボタン
blogram投票ボタン
人気ページ<月別>
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
最新トラックバック
QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

Friends
福☆こもろ