赤と黒の誘惑

赤と黒の誘惑 “My Mistress”

監督:スティーヴン・ランス

出演:エマニュエル・ベアール、ハリソン・ギルバートソン、
   レイチェル・ブレイク、ソクラティス・オットー、リア・パーセル

評価:★★




 少年が年増女に憧れを抱き、そればかりか性的な手解きを受ける映画は少なくない。この場合、女が娼婦という設定は珍しくないものの、SMの女王様というのは聞いたことがない。しかも、女王様はエマニュエル・ベアールなのだ。ベアール様が少年を男たちを調教する。ひゃっほう!

 …というところから企画が始まったはずの『赤と黒の誘惑』は、全体を見渡してみれば、不敵さに欠けた筆下ろし映画だ。イメージを膨らませやすいベアールを真ん中に置きながら、大胆な逸脱はないに等しく、少年が女と精神的にも肉体的にも心を通わせることで成長するという定番を頑なに守る。ベアールがSMの女王様である必然性も全くないのに、何故小さくまとめているんだか。

 父の自殺。母の不倫。養育権問題。孤独な魂の交流。母と息子の複雑な関係。一応ドラマ要素も仄めかされるものの、結局呼び物になるのはベアールのSMスタイルだ。これが世間一般が想像するものそのままなのに苦笑い。SM映画は定期的に作られているものの、その描写は滑稽に終わるのが常だ。「クラッシュ」(96年)しかり。「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」(14年)しかり。作り手はそれに気づかない。

 黒髪のウィッグ。メリーゴーラウンドの馬。猿ぐつわ。ハイヒール。黒のレザースーツ。鞭。棺桶。「女王様とお呼び!」のセリフこそないけれど、いつもよりけばけばしいベアールが男たちを苛める画は、やればやるほど可笑しいのだった。ならばそれを極めれば良いのに。ベアールの見せ場はむしろ、その綺麗な胸を開帳する場面ではないか。

 少年の設定は古臭い。16歳には見えない老け顔の少年は、世間で言うところの「不良」。煙草と酒を片手に毎日をだらだら過ごし、でもその身体からは「本当は寂しいんだよ。誰か、本当の俺を分かってくれよ」という叫びを発散する。その彼が思春期の最大の特徴である妄想を大いに膨らませるというのが、SM風味も絡まり、もはや時代遅れの印象を強調する。どれだけ突っ張っても、乗りこなすのは自転車というのは笑えるけれど。

 そもそも官能に対する嗅覚が優れているとは思えない画面だ。直接的なセックス描写を避けるために、床に無造作に投げられた服や乱れた家具、手足のズームアップ等のカットを挿入するという演出が平気でなされる。昼メロでももう少し工夫するのではないか。

 そのためかベアールが無理をしているように見える。日本で言ったら、かたせ梨乃あたりが無理矢理イイオンナを気取っている感じに近いかもしれない。化粧によっては亡き岸田今日子先生に見えるのもどうかと思う。





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