メイズ・ランナー

メイズ・ランナー “The Maze Runner”

監督:ウェス・ボール

出演:ディラン・オブライエン、トーマス・サングスター、アムル・アミーン、
   カヤ・スコデラーリオ、キー・ホン・リー、ウィル・ポールター、
   ブレイク・クーパー、ジェイコブ・ラティモア、
   クリス・シェフィールド、ジョー・アドラー、デクスター・ダーデン、
   カール・グリーン、ランドール・D・カニンガム、
   アレクサンダー・フローレス、パトリシア・クラークソン

評価:★★




 目が覚めると、高速の貨物エレヴェーターに乗せられている。記憶は消し去られ、自分の名前も憶えていない。辿り着く先にいるのは、自分と同じように運ばれてきた者たち。そしてそこは360度全方位、巨大な壁に囲まれている。しかも壁の向こうにはさらに巨大な迷路が広がる。果たして脱出できるだろうか。不条理な出足は、もはや懐かしくさえ思えるカナダ映画「CUBE」(97年)のようだけれど、どうやら『メイズ・ランナー』、目指すところは違うらしい。

 そこでは十代の少年たちがコミュニティを作っている。迷路にはトラップが仕掛けられ、下手に近づこうものなら命を落としてしまう。生き延びるためには「社会」を作らねばならない、ということだ。前半はコミュニティの様子が描かれ、ウィリアム・ゴールディングの「蠅の王」を思わせる。少年俳優たちは「若造」という言葉がぴったりで、子どもだけしかいない風景が落ち着かない。それぞれの役割も大変大雑把に説明される。

 しかし、見せ場となるのはもちろん、壁自体が生き物のように動く(時には人間を押し潰す)迷路からの脱出劇だ。そこには蜘蛛型の化け物もいる。さあ、他にどんなトラップが仕掛けられているのだ。期待は膨らむものの、あららがっくり、それ以外の罠は見当たらない。動く壁と蜘蛛の二本柱だけで最後まで押し通す。迷路からの脱出の謎解きも含め、頼りないことこの上ない。

 ただし、主演を務めるディラン・オブライエンの走りっぷりは良い。もし力を抜こうものなら壁にぺしゃんこにされるか、蜘蛛に食われるかのどちらかだ。命がかかったときの懸命の走りが、あぁ、若さも手伝って、手に汗握りながらも、大いに可笑しい。若人よ、若い肉体を存分に酷使するが良い。オブライエン主演抜擢の決め手はひょっとして、この走りにあったのではないか。

 オブライエンの走りほどに物語は加速しない。コミュニティが蜘蛛に襲われる件は画面を暗くして誤魔化しているみたいだし、迷路へ突撃する件は「事前調査」以上の驚きがなくクライマックスと呼ぶのが憚られるほどだ。もしかしたら若者たちの軋轢こそ見て欲しいということなのかもしれない。ピントがずれている。

 この一本だけで完結させない作りが苛立ちを誘う。何ひとつ謎が回収されない。三部作の第一作として製作されたこの映画は、「CUBE」でも「蠅の王」でもなく、「ハンガー・ゲーム」(12年)「ダイバージェント」(14年)のように、権力を握った社会へ若者たちが立ち向かう様に生じる熱を愛でる青春物だったらしい。少女ではなく少年が主人公のため分かり辛いけれど、間違いない。そうか、少年と権力の対比は少女のそれほどに煌めかないものなのか。

 ところで中盤、50人近くは少年がいるかと思われるコミュニティに、初めて少女が送られてくる。しかもなかなか可愛らしい。このときの少年たちの反応が…、絶対に間違っている!そして腑に落ちる。映画がメインターゲットにしているのは、やはりティーンの少女なのだ。そのために少年たちが「性」の匂いを放出することは決して許されないのだ。男目線では、全員童貞か!と突っ込みを入れるしかない。





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