ゼロの未来

ゼロの未来 “The Zero Theorem”

監督:テリー・ギリアム

出演:クリストフ・ヴァルツ、デヴィッド・シューリス、メラニー・ティエリー、
   ルーカス・ヘッジズ、マット・デイモン、ベン・ウィショー、
   ティルダ・スウィントン、グウェンドリン・クリスティー、
   ルパート・フレンド、レイ・クーパー、リリー・コール、
   サンジーヴ・パスカー、ピーター・ストーメア

評価:★★




 覚悟はしていたものの、物語がさっぱり分からない。クリストフ・ヴァルツ演じるひきこもりのプログラマーがゼロの定理なるものを解き明かそうとするところからして拒否反応が出るというのに、どこに向かっているのか話が一向に分からない。しかもコレ、明らかに意図的だ。

 そう言えばテリー・ギリアムはモンティ・パイソン出身なのだった。それを思うと『ゼロの未来』はこれまでで最もギリアムらしい作品と言えるのかもしれない。「未来世紀ブラジル」(85年)のアップ・トゥ・デイト エディションとして、ナンセンスを極める。もちろん話に入り込んでも良いのだろうけれど(そういう人もいるはずだ)、それよりも目の前に広がるカオスをそのまま体感することに専念するべきなのではないか。

 ヴァルツを主人公に選んだのは正解だろう。無表情のスキンヘッドが今回のヴァルツのデフォルトだ。人付き合いが苦手で、人生の目的を教えてくれる電話を待ち、引き籠ってコンピュータと格闘する毎日。変わり者の主人公を魂と肉体が分離しているかのような技を繰り出して演じている。奇怪な世界に放り込まれても、ヴァルツの個性はそこに埋もれない。

 問題はヴァルツが動き回る世界が古臭く見える点だろう。ヴァルツが住む教会改造アパートの迷路のように複雑な構造も、街中の落書きやネオン、広告や乗り物のけばけばしさも、未来を謳いながらレトロスペクティヴでもあるという線のど真ん中を突き過ぎて、どうも格好が決まらない。

 するとギリアム繰り出す混沌の画も、理解不能な展開も、褪せて見えてくる。実は感性がアナログ寄りな人が無理をしてはしゃいでいるかのような気恥ずかしくも落ち着かない気配が立ち込める。これは拙い。ヴィジュアルがギリアム映画好きによるレプリカとしてでしか捉えられない。早い話、胡散臭いだけなのだ。

 永遠だとか宇宙だとか時間だとか、答えのない題材が笑いと密着しなかったのがいちばんの不幸だ。マット・デイモンやティルダ・スウィントンら大物ゲストも巻き込んで投下される笑いの爆弾がことごとく不発に終わる。その中でヴァルツだけが奇怪さを味方につける。流れ過ぎていくものの中で必死に抵抗を試みるヴァルツの七転八倒だけしか、後に残らない。





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