フランキー&アリス

フランキー&アリス “Frankie & Alice”

監督:ジェフリー・サックス

出演:ハル・ベリー、ステラン・スカルスガルド、フィリシア・ラシャド、
   チャンドラ・ウィルソン、ジェームズ・カーク、エイドリアン・ホームズ、
   ブライアン・マーキンソン、アレックス・ディアカン

評価:★★




 映画で多重人格が描かれるとき、大抵の場合、スリラーかコメディになる。人格が切り替わる際の謎に注目すればサスペンスが生まれるし、極端な変化に滑稽味を見出すことも(不謹慎ではあったとしても)可能だろう。『フランキー&アリス』はどちらも選ばない。実話を基にしていることが関係しているのか、解離性同一性障害に侵されたアフリカ系ストリッパーの過去を真面目に探る。

 けれど、真面目が良いとは限らない。多重人格に苦しむ女の物語と見せかけて、これは症例のひとつを紹介した映画だ。三十代半ばの女に多重人格の症状が表れ、精神病院に入院する。そこで出会った医師の力を借りて、その原因(と思われるもの)を追究する。ここにドラマが生まれない。症状を自覚した女が過去と向き合う、そこに行き着くまでの心の旅を描くならまだしも、大凡見当のつく方法で医師がそれに迫る様をスロウに見せることに終始する。それはそう、医療研修プログラムVTRの趣だ。

 女は名前をフランキーという。そして彼女の人格を乗っ取ろうとする女はアリスというらしい。ふたりの戦いこそ描く価値がある題材だと思われるのに、人格のせめぎ合いを描くのは一場面に限られ、後はもう、各人格の性格を描写しているに過ぎない。見世物ショーになる危険を回避したかったのだろうか。でもそのせいで、彼女への哀れみばかりが浮上する。

 俳優が多重人格者役に惹かれるのは分かる。ひとつの映画で幾人ものキャラクターを演じ分けるのは挑戦し甲斐のあることに違いない。ハル・ベリーはフランキーとアリス、そして幼い子どもを演じ分ける。スリラーでもコメディでもない、それこそ人間ドラマ映画の演技だ。節度があると見るべきなのだろうけれど、むしろ勿体ない。

 極端を極めるアリスのキャラクターに惹かれるからだ。彼女は何と白人で、しかも人種差別主義者でもある。利き腕も視力も知能指数も変わるという事実の興味深さもさることながら、アフリカ系女の身体の中に人種差別主義の白人の人格が宿る不可思議さ。多重人格を引き起こす原因など、それだけで映画が成立しそうな可能性を感じさせる。もっと娯楽に寄りながら、かつスマートな映画的な展開が可能だったのではないか。そしてその方が、スター女優ハル・ベリーの個性が生きたのではないか。

 フランキーの職業がストリッパーであること。彼女に言い寄る白人男性がいること。母親や妹との関係が良好とは言い難いこと。精神科医の私生活が不活発なこと。他にも装飾可能な部分は少なくない。いずれも腫れ物に触るような態度で演出される。そんなに「実話」という言葉が気にかかるのか。





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