パロアルト・ストーリー

パロアルト・ストーリー “Palo Alto”

監督:ジア・コッポラ

出演:エマ・ロバーツ、ジャック・キルマー、ナット・ウルフ、
   ゾーイ・レヴィン、ジェームズ・フランコ、ヴァル・キルマー、
   クリス・メッシーナ、キーガン・アレン、クラウディア・レヴィ、
   タリア・シャイア、オリヴィア・クロシッチア

声の出演:フランシス・フォード・コッポラ

評価:★★★




 ジア・コッポラは名前から分かる通り、名門コッポラ一族のひとり。フランシス・フォード・コッポラは祖父、ソフィア・コッポラは叔母に当たるのだという。コッポラの血を感じさせるショットは少なくない。監督自身も意識しているのだろうか。『パロアルト・ストーリー』からはとりわけ、叔母の映画の細胞を捻出できそうだ。特に画面作りに顕著だ。

 光の切り取り方に独特の味がある。今時の高校生の日常風景を切り取った物語。それを映し出す風景の光そのものに、匂いがある。眩しい昼間の光だけではない。寂しげな夕暮れの光や、後ろめたさのある真夜中の光。人工的で悶々とした室内の光も、清らかさを漂わせる明け方の光もある。ただ、単純明快で明朗なだけの光は、どこにも見当たらない。

 もう少しで雰囲気だけの映画に終わる危険を具える。叔母はその罠にハマることが多い。けれど、ここではそれが回避される。ふわふわと漂う高校生たちの魂を追いながら、その変化にも目を凝らす。ここには匂いだけでなく、温度がある。そこが叔母とは決定的に違う。

 気怠い。虚しい。無理に笑う。無理に泣く。捌け口に苦しむ。己の苛立ちの理由が分からない。叔母の映画にも出てきそうな人物が散りばめられても、彼らは陶酔に浸ることなく、プラスの方向にもマイナスの方向にも歩みを進める。それが物語になる。中心人物として描かれる男女が交わる箇所がほとんどないにも関わらず、それでも別々の話を眺めている気分にならないのは、ふたりの魂が同じ線の上で揺らめくからだ。それが語るということだ。

 叔母ならばエマ・ロバーツをヒロインには選ばないかもしれない。実の叔母と同じように顔のパーツが大きなロバーツは、全体の印象が大味だからだ。叔母はもっと少女性の強い女優を好む。けれど、ここではそのロバーツから繊細さを引き出す。言葉のない場面の空気感が悪くない。

 叔母よりも優れているのは少年の描写だ。少女と同じように少年からも人間的な感情を引き出す。ロバーツの相手役となるのはヴァル・キルマーの息子らしいジャック・キルマーだ。美少年ではないものの、情緒不安定で(精神的におかしいというのではない)鋭利な佇まいにロバーツ以上の説得力を持たせる。ブロンドや髪型のせいか、キルマーは角度によってはリヴァー・フェニックスを思わせるときがある。もしかしたら監督も頭に浮かんだところがあったのではないか。

 ロバーツとキルマーが暗がりで語る場面が良い。煙草を吹かしながら意味が深いんだかそうでないんだかよく分からない会話を続けるふたり。でも、誰もがそうだった。高校生の時分はきっとこんな感じだった。退屈で、バカバカしくて、何かに意味を求めて、でもそれが結局何か分からない。あの漠然とした不安を懐かしく思い出す。





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