インフェクション 感染

インフェクション 感染 “Parts Per Billion”

監督:ブライアン・ホリウチ

出演:フランク・ランジェラ、ジーナ・ローランズ、ロザリオ・ドーソン、
   ベン・バッジリー、テリーサ・パーマー、ジョシュ・ハートネット、
   アレクシス・ブレデル、ヒル・ハーパー

評価:★




 戦争時における生物兵器の使用がきっかけで世界中で感染症が蔓延、人類が死に絶えていくとき、世代の異なる三組のカップルが描かれる。スティーヴン・ソダーバーグ監督の「コンテイジョン」(11年)を連想するような設定だけれど、より近いのはラース・フォン・トリアー監督の「メランコリア」(11年)だろう。死が忍び寄る中、人々は何を思うのか。『インフェクション 感染』を覆い尽くすのは、憂鬱の気配だ。

 感染により人々が命を落としていく傍らにあるサスペンスは、ほとんど無視される。病院内の混乱や人々の病変、生き延びたいがゆえの略奪や暴動の描写はさらりと済まされる。代わりにスケッチされるのは、三組のカップルの、この期に及んでうだうだと人生を語る煮え切れない態度。憂鬱に魅力がなく、そこが「メランコリア」とは決定的に違う。

 作り手は賢く見られたかったのだろうか。人間はなぜ生きるのかという答えのない答えを掲げ、登場人物を動かす。病に倒れた妻を看る老人は生物兵器を開発してしまったことに苦悩し、結婚生活がぎくしゃくしたカップルは窮地に戸惑い、若いカップルは世界の最後に対処し切れず求め合う。様々な愛の形を見せたかったのか。けれど、その紋切り型の描写が退屈を増長する。

 そう、結局提示されるものは、愛なのだ。愛しかないのだ。まあ、そうかもしれない。けれど、これだけ世界で愛が叫ばれている時代、それを前面に出す危険性には、映画人なら敏感になるべきではないか。人生の謎は愛だけではない。と言うか、愛を描くために人類が絶滅する必要はない。

 時制を操る意味が良く分からない。時系列に沿って素直に描けば良いのに、時制のシャッフルが余計な混乱を誘う。人物間の繋がりを見せたかったのか、シャッフル演出が流行りだからやってみたのか、感染の経緯に少しでもサスペンスを持たせたかったのか。エピソードとエピソードの継ぎ目が荒くなるばかりという無念の結果。

 敢えて良かったところを挙げるなら、フランク・ランジェラとジーナ・ローランズが街中をとぼとぼと歩くショットか。ランジェラがローランズの車椅子を押しながら、遺体が転がる荒れ果てた道を寂しく往く。ふたりの掛け合いには、他のカップルにはない詩情を感じなくもない。





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